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カテゴリ「film」に投稿されたすべてのエントリのアーカイブのページが、新しい順番に並んでいます。
次のカテゴリーは、「update」です。

2008年09月29日

 1957年製作のこの映画、観たのは40年ぶりぐらいだな、たぶん。そのときはテレビで、今回はDVDで。考えてみると、小学生・中学生のころは日曜・水曜にテレビで映画を観ることが多かったので、父親世代の洋画はずいぶんと見たはず。そんななかでも、この映画はけっこう夢中になって観た記憶がある。
 
 このところつくづくと思うのだけど、60年代ぐらいまでの映画って、ドラマづくりが本当に丁寧だよな。それとも、オッサン年齢になり、むかしのオッサン映画を楽しめるようになっただけか(笑)。


2008年09月07日

 ロジェ・ヴァディウム監督、ジェーン・フォンダ主演という組合せは「獲物の分け前」とおなじ。が、この「バーバレラ」、ヴァディムがジェーン・フォンダをひたすら脱がせるために制作した映画としか思えない(笑)。いきなり素っ裸になる場面でオープニングのテロップが流れる。その後も敵につかまるたびに着衣がボロボロ。まあ、ヴァディムの悪趣味映画ってことなんでしょう。


2008年09月06日

 ブラッドベリー原作、トリュフォー監督のSF映画、とてもとても有名な作品だが、見る機会がなかった。寝る前にようやく見たのだが、ロケ現場や消防車の安っぽさがえらく不気味な感じがした。いろいろと思うことはあるんだけど、でも、いちばん印象に残ったのが、その安っぽさなんだよな。トリュフォーが狙ったのかね。
 
 カメラワークが素晴らしい。安っぽい場面に抜群のカメラワークのちぐはぐさが、CG以前のSF映画の粋を見せつけられたようにすら思えるのだ(笑)。
 
 この映画を観て実感したこと。トリュフォー監督のもと、おなじカメラ担当とでJ.G.バラードの「時間都市」を映画化してほしかったものよ。近未来で不条理的禁令のストーリーというと、オレとしては「時間都市」に尽きてしまうのだ。ストーリー的にはこちらの方がいっそうシュールだと思うのだけどね。


2008年09月02日

 レクター博士3部作の最後(だけど筋書き的には最初)のエピソード、「レッド・ドラゴン」、んー、ずいぶん陳腐な結末だと思ったら、そこから先があったのね。ラストはかなりスリリングだった。
 
 3作すべてを観ると、それぞれに特徴があっておもしろい。作品的には「羊たちの沈黙」がピカイチだが、これはジョディ・フォスターの熱演によるところが大か。気持ち悪さでは二作目の「ハンニバル」で、まあ、リドリー・スコットのえぐさを見せつけられた感じ。
 
 その点、「レッド・ドラゴン」は平凡な作品かもしれない。アンソニー・ホプキンスによるレクター博士像が完全につくられたあとなので、ハマった人には十分に楽しめるのだが、ドラゴンくん、このシリーズの変態キャラのなかでは、ちょっとパンチ力が弱かったな。FBI捜査官のウィルも、まあ、月並みな感じだし。こうしたムード、まるでSWのエピ6そっくりである。


2008年09月01日

 今日の二本立ては「9 to 5」LD版と「クローサー」DVD版。よくまあ、こんなバカ映画を組み合わせたものである(笑)。
 
 9 ot 5はジェーン・フォンダ主演で、実質的なプロデュースもフォンダだとのこと。ずーっと勘違いしていたのだけど、シーナ・イーストンの「9 to 5」がこの映画の主題歌だと思っていた。オープニングでドリー・パートンの歌声が出てきたびっくりしたよ。てっきり出演だけだと思っていたので。
 
 映画自体は、あまりにもありきたりなコメディのまんま。ストーリーにもキャラクターにも、とくに目新しい要素なし。ジェーン・フォンダのカマトトぶった演技がそれなりにおもしろくもあったが、途中からやっぱりフェミ的になってしまうあたり、なりきってなかったな、という感じ。
 
 でも、クローサーのバカ映画ぶりに比べれば、9 to 5はまだマシかも。いや、久々にひどい映画を見せてもらいました(笑)。この映画、よーするに優柔不断軟弱男の二股破綻総振られストーリーってことだな。場面がめまぐるしく切り替わるし、フラッシュバックもおなじ要領で織り込まれているので、展開を理解するのに苦労した。くっついたり離れたりっていうのが基本線だけど、うじうじしていて苛立つだけ(笑)。なーんもカタルシスがないっすな。
 
 まあ、オレはナタリー・ポートマンもジュリア・ロバーツも好きなので、最後まで見る気になったけど、この2女優が好みでなければ、途中でストップしちゃったろうね。


2008年08月30日

 昨夜に続く、シャーリー・マクレーン主演の「日々」映画である。アカデミー賞の作品賞まで取った作品だが、んー、ストーリーにどういう意図やらメッセージやらがあるのか、オレにはさっぱりわからんかった。ただ、キャラは立ちまくっていたので、飽きずに観ることはできたが。こういう映画から何かを読む取るという感性が、もはやオレにはないのかもしれん。
 
 マクレーンの我の強い熟年オバサンぶり、そしてジャック・ニコルソンのちょい悪オヤジぶり、その二人の掛け合いは見応えがあった。大人の「猥談」は、じつに軽妙な感じだった。デブラ・ウィンガーも好演していたと思う。強烈なキャラの二人に対して、ほぼ互角の存在感を示していたのだから。まあ、ストーリー展開上、一応、中心にいたおかげかもしれないが。


 久々に観てしまいましたよ。
 今回観たのは2002年のDVD最終版。ブレードランナーはバージョンを明記しておかないといけないのがナニだな(笑)。オレ自身がこれが三つ目のバージョンになる。最初が日本の劇場公開に近いLD版、次はタイレル博士の目がえぐられるシーンの入ったVHS完全版、そして今回のDVD最終版ということに。でも、ファイナル・カットもあるんだったな。いずれ観ねば。
 
 2002年版だと、デッカードが一角獣の夢をみる場面が加わった一方、ラストで二人が逃亡し、「レイチェルは死ななかった」という陳腐なハッピーエンドで終わる場面がカットされている。まあ、そこはカットされた方が、終わり方としては締まっていると思う。


2008年08月29日

 今日の一本目は、シャーリー・マクレーン&アン・バンクロフトの「愛と喝采の日々」に。ずいぶん前にLDを買っておいたのだが、そのままコヤシ状態になっていたのだった。
 
 まあ、オレはバレエのことは無知なので、単純にドラマとして楽しんだ。シャーリー・マクレーンのオバサンぶり、とりわけキャリアを選んだエマ(バンクロフト)を嫉妬してののしる場面がすばらしい。そのあとのバンクロフトとの取っ組み合い、途中でおかしくなって笑い合う場面などの転換がいちばんの見所といった感じ。
 
 バンクロフトも好演なんだが、ただ、オレの頭のなかではバンクロフト=ミセス・ロビンソンのイメージが強いので、ストイックな役柄に違和感を覚えてしまう。


2008年08月28日

 今日の二本立ては、「ハンニバル」と「WASABI」。ハンニバルだけを観て寝るつもりだったのだが、んー、リドリー・スコット監督にやられた(笑)。「羊たちの沈黙」に比べ、物理的・生理的な気色悪さが4倍角ぐらいになっており、見終えたあと、「口直し」が必要だと思ったのである。
 
 口直しには正反対の映画を選びたい。日本かフランスのバカ映画……となれば、リュック・ベッソンの作品あたりが手頃なわけで、ほどよく「WASABI」があった、という次第である。
 
 さて「ハンニバル」、レクター博士の一人舞台であるな。クラリスは手玉に取られただけで、もはや対峙すること能わず。最初、なぜジョディ・フォスターが引き続き演じないのか不思議だったのだが、こういうシナリオなら、フォスターじゃないほうがいい。……というか、フォスターが出ないから、こういうシナリオになったのか。しかしまあ、あれだけ気色悪いシーンのオンパレードなのに、目をそらさずに見てしまった。そのあたり、スコットの力量なのかね。
 
 そして「WASABI」だが、ベッソンのつくるバカ映画なんだから、あれぐらいバカバカしい展開でちょうどいいように思う。「TAXi」に比べれば、やや抑えていたというか。広末がちょいうっとーしかったけどね。


2008年08月25日

 うーん、やられた……という感じ。
 前半は、ずいぶんと間抜けなストーリーだと思った。シーンそれぞれはジャンヌ・モローとモーリス・ロネゆえ緊迫感のある演技だと感じたが、でも、ずいぶんとお粗末なストーリーだと思ってしまった。だって、完全犯罪を計画した元軍人が、うっかりとロープを忘れたりするかね。しかも、忘れたことに気づいたとき、あわてて車にキーを付けっぱなしにしたり、ピストルを置いたままにするだろうか。まあ、素直に考えれば、あまりにも抜けた展開だよな。
 
 さらに、車を拝借した小僧とその恋人の場当たり的な殺人というのも、あまりにもご都合主義かつ偶然の連続。こりゃ計画的な完全犯罪が、偶然の連続による結果的完全犯罪に破れる展開なのかと思ってしまった。その間、ジャンヌ・モローは街を徘徊するだけの、これまたあまりにも間抜けなところばかり。てっきり「お間抜け映画」なのかと思った。
 
 しかし、いつのまにかストーリーそのものにハマってしまったな。いやー、スリリングだった。最後の結末もよし。なんともビミョーなカタルシスを覚えた映画であった。多くの人が評しているように、マイルス・デイビスの奏でるBGMがじつに合っている。
 
 それにしてもこの映画、ケータイとデジカメだけに馴染んだいまどきの若者には、設定そのものが理解できないのでは、と思ってしまう。だって、エレベーターに閉じこめられたら、「ケータイで連絡すればすむじゃん」という反応になりそうだもんな。最後の写真の場面だって、銀塩写真ならではの展開だしね。


 ジャン=ポール・ベルモント、田舎者で間抜けな二枚目半を演じさせたら、本当に見事なハマリ役だな。この映画の主演、ベルモント以外には考えられない(笑)。いちばん笑えたのは、結婚詐欺にあったとわかったあとに、「妻」の下着を引き裂いて暖炉で燃やすところ。この情けなさ、ああ、いい味出ている(笑)。
 
 随所にいろいろな映画の・映画への「引用」があるように思えるのだが、んー、オレの浅薄な知識では残念ながらすぐにこれと出てこず。Wikiで調べて多少は理解したが。大木に腰を下ろすシーン、ルノワールの「小間使いの日記」からの引用だそうだが、この映画、昨年観たばかりなのに、そんなシーンがあったんだな。
 
 ドヌーブが無造作にオッパイをべろんと出して着替えるシーンも、どこかコミカルな感じだった。ドヌーブって、美人であることは疑問の余地はないけれど、どこか安っぽい感じがするんだよな。
 
 素朴な語学的疑問。結婚当初、しばらくvouvoyerが続いたのはなぜなんだ。「再会」後はいきなりtutoyerというのも、感覚の変化なわけ?


2008年08月24日

 なぜかいままで見そびれていた「タクシー・ドライバー」、名画と称賛されるだけあって、単調なストーリーなのに飽きることなく観ることができたが、んー、結末が不満だな。ああいうあいまいなハッピーエンド(?)で終わっていいのかい。まあ、あれをハッピーと受け取れるかどうか、という問題もあるんだが、破綻して終わるべき展開が、なんだか不完全燃焼である。やっぱアメリカ映画だから、なのか。フランス映画、それもブニュエルあたりが監督をしたら、最後は電気椅子での夢オチだと思うが。
 
 なぜ「羊たちの沈黙」「タクシー・ドライバー」そして「ダウンタウン物語」を続けて観たのかというと、もちろんジョディ・フォスターがお目当てだから。「ダウンタウン物語」はフォスターが注目されるきっかけになった映画なわけで、最初から最後まで、徹底的にギャングごっこを通したコメディ・ミュージカルとしては十分に楽しめる。
 
 しかし、フォスター、この映画ではそれほど目立ってはいなかったんじゃないの。ローティーンでの映画出演としては、「レオン」でのナタリー・ポートマンの方がぴかぴかに光っていたと思う。なので、この映画、ストーリーはおもしろかったが、フォスター目当てで観てしまったので、かなり物足りなさを感じる。


 今回初めて観たのだけど、これは凄い映画だな。アンソニー・ホプキンスの演技が壮絶だが、ジョディ・フォスターもそれに負けていない。というか、この映画、フォスターでなければとてもホプキンスには対抗できないんじゃなかろうか。昨夜この映画を観たせいで、ついさっき見終えた「タクシー・ドライバー」が、なんとなく物足りなく感じてしまった。
 
 サイコホラーといえば、ヒッチコックの「サイコ」が代表的なんだろうけど、じつはオレ、この映画はそれほど怖いとも凄いとも思わなかった。「羊たちの沈黙」の方がはるかにスリリングだったな。なによりレクター博士のあの目が怖い。いやー、アンソニー・ホプキンスって、こんな名優だったのね。
 
 さて、これから「ダウンタウン物語」を見るとしよう。


2008年08月17日

 43年前のホラー映画だが、ムスメが観たいというので久々に観る。
 
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD13546/
 
 ムスメ的にいちばん印象的だったのは3編目だったが、これがクリストファー・リーを主人公とするものだった。全体を通じた「主役」がピーター・カシングなので、ターキン総督とドゥークー伯爵の揃い踏み(笑)の作品に反応したわけである。


2008年07月29日

 ようやく見終えた>タンポポ。三日かかったよ。
 なぜこの映画を突然観たくなったのかというと、先日、「天国と地獄」を観てしまったから。山崎努が目当てだったわけ。
 
 べつに作品がつまらなかったから三日かかったわけじゃない。いつも深夜に突然観たくなったので、途中でどうしても睡魔に勝てなかったのである。ドラクエの影響もあるな、たぶん(笑)。
 観るのはこれで3度目だと思うんだが、一昨日・昨日と昼にラーメンを食っておいたので、今日はラーメン衝動を抑制できた(笑)。ラストシーンをすっかりと忘れていたのだけど、そうか、母乳を与えるシーンだったか。でも、謎だよな、なんでこういう場面で終わるのか。
 
 山崎努というと、オレとしてはどうしても「必殺仕置人」の「念仏の鉄」のイメージが強い。でも、「天国と地獄」の誘拐犯役は鮮烈だったな。こんどは「八つ墓村」を観たくなったがな。


2008年07月16日

 黒澤明監督の「天国と地獄」のDVD版が届く。速攻で観た。たぶん、これで4度目か。最後に観たのは14年前、パリの映画館にて。たしか小津・溝口・黒澤映画をしじゅう上映している映画館がひとつあって、たまたま「天国と地獄」の上映があることを知ったのだった。小さな映画館ながら、フランス人の客でほぼ満席だったと記憶している。
 
 この映画、まあ、オレにとってはほとんど地元が舞台なので、なんとなく親しみがある(笑)。住んでいたのは「天国」の高台ではなくて、「地獄」のドブ川沿いだったのだが、たしかにあのあたりの夏の暑さはすさまじかった。よくまあ冷房なしで過ごしたもんだわな。
 
 それにしてもこの映画、山崎努の演技が凄まじい。若き仲代達也の臭さもいいんだけど、やっぱり山崎努に尽きる。最後の面会の場面で、主演の三船俊郎が完全に吹っ飛んでいる。で、こんどは「タンポポ」を観たくなってしまったのであった(笑)。


2008年07月11日

 やはり観てしまったよ、「昼顔」と「好奇心」。
「昼顔」を観るのは5回目ぐらいか。ストーリー自体はベタだけど、やはり最初と最後のシーンは何度観てもドキっとくる。belle de jourを最初に買うことになる太っちょのオヤジ、あとから考えると、こやつが客のなかではいちばん印象に残るな。Mな産婦人科医、面妖な日本人、変質的伯爵と、あとの客がいかにも作り物のキャラクターという感じなのに、成金社長オヤジがひときわリアルで気持ち悪い。
 
 ルイ・マル監督の「好奇心」、最後まで観たのは初めてかも。たしか、主人公の少年が売春宿で筆下ろし達成寸前のところで異母兄たちに「ひっこ抜かれた」(笑)あたりまでは観た記憶がある。母子でエッチというMainichi weeklyなネタだけど、ベタベタした触れあいを日常的にからりとやっているラテン的なつきあいのなかで描かれているから、こうもあっけらかんとした展開を実現できるのだろうね。とくに母親がイタリア系だし。なので、この映画は母親の強烈なイタリア訛りのフランス語のままで観ないと、おもしろさは激減だな。でも、最後の家族で爆笑するシーンがよし。


2008年07月10日

 映画って、1本観ると、それがキッカケになって、ついついいろいろなものを観てしまう。そこにアマゾンがからむと、ぽちの回数が加速度的に増えるわけで。困ったもんですわ。

 先日、「太陽がいっぱい」「個人教授」を観たら、連鎖が始まってしまった。翌日にはロードショーでインディ・ジョーンズを観たので、連鎖は加速するにきまってる。気がついたら、ある程度飛ばし飛ばしではあるけど、「フラッシュダンス」「シャレード」そして「おしゃれ泥棒」である。今日はきっと、「昼顔」を観てしまうだろう(笑)。

 それにしても、ピーター・オトゥールって、ちょっとイった感じの胡散臭い役が、なんて似合うんでしょうね。


2008年07月07日

 午前中、インディ・ジョーンズ最新作をカミさんと観に行く。平日の午前中とあって、館内はガラガラ……にしても、あまりにも空きすぎていたぞ。だって、10人ぐらいしかいなかったんじゃないかな。このシリーズ、満員状態のなか、パロディ場面で全員がドっと湧くのが魅力のひとつなので、閑古鳥状態ではおもしろさは半減である。

 ただ、さすがにこのシリーズ、もう逝ってしまったな。
 レイダースからリアルタイムで追いかけている人なら、ある程度は楽しめると思う。お決まりのシーンの連続だし。しょっぱながレイダースの最終場面の倉庫を舞台にしているわけで、しかも破れた木箱からアークがちらりと見えるというのも、長年のファンへのサービスという感じ。

 しかしなー、ストーリーもアクションもSFXもラストも、完全に逝っているとしか思えない。途中からインディ・ジョーンズではなく「未知との遭遇」になってしまうし(笑)。
 まあ、レイダースとセットで観れば、マリオンの変化を楽しめるかもしれん。ロードショーでわざわざ観るような映画ではないな。このシリーズ、2作目「魔宮の伝説」は、本当にワクワクドキドキの連続だったんだが、ここで終わっておくべきだったのかね。


2008年07月06日

 まずは『太陽がいっぱい』。なんとなくフランス語の映画を観たくなったので、という程度だったのだけど、これを観るのは本当に久々。ああ、ラストシーンのためだけに数十分の展開を眺めるわけだけど、やっぱり最後のあのヨットの場面が最高なわけで。アラン・ドロンの "Meilleur..." という台詞がたまらんです。

 アラン・ドロンを観たら、こんどはナタリー・ドロンを観たくなってしまい(笑)、寝しなに「個人教授」を引っ張り出す。リセHenri IVをはじめ、パリに住んでいたころにさんざん眺めた街並みが映っているので、それだけで懐かしさいっぱいの映画である。ランボルギーニ・ミウラも美しい(笑)。

 この映画もラストシーンの、あのルノ・ベルレーが去っている姿を味わうために、それまでのストーリーがあるようなものだな。オトコが一人で去る場面としては、オレは「ローマの休日」のグレゴリー・ペックとともに、この作品のベルレーが最高に魅せると思っている。

 最後に、Hotel Esmeraldaの部屋からナタリー・ドロンが "Il pleut." と言っているであろう場面(口が動いているだけ)、これがねえ、やっぱたまらなくええんです。ああ、年上の女、というか(笑)。これだけでも、この映画を何度も観たくさせられちゃうんだよな。


2007年09月12日

 今日観た映画はジャンヌ・モロー主演『小間使いの日記』とマリリン・モンロー主演『お熱いのがお好き』の二本。いずれもレーザーディスクで。
 
『小間使いの日記』、ルイス・ブニュエル監督だけあって、最初から最後までわけわからん耽美な映画であった。精力絶倫でメイドに手を出しまくるブルジョア婿養子、やたら神経質で潔癖、週二回のセックスが多すぎるとぼやく奥方、靴フェチで靴を抱いたまま死んでしまった大旦那、そして変質ロリな下男と、キャラは勢揃いである。ああ、やっぱり『昼顔』の監督だけあるわ、と納得(笑)。
 
 ストーリーらしきストーリーはなかったけど、けっこう引き込まれてしまった。キャラクターの設定と、役者の演技だけで十分におもしろかったんだろうな。それにしても、若いころのジャンヌ・モローって、こんなに美人なんだ。ジェーン・フォンダに似た雰囲気だったのね(ジェーンの方が年下だけど)。
 
『お熱いのがお好き』は、何十年かぶりで観る。けだるいフランス映画を観たあとに、アメリカのラブコメ映画というのは、ちょうどいい口直しという感じか(笑)。


2007年09月10日

 ずいぶん前にレーザーディスクで買っておいたのだが、観たのは今日が初めて。この映画、オレがフランス語の勉強を再開したころに話題になっていて、そのころから観たいと思っていたのだけど、うーん、貧乏くさい映画だな。
 
 サエないホームレスの男に、病気でヤケクソになった女。まるで感情移入ができないし、絵的に美しいとも思えないし、なにかメッセージを感じるでもない。日本ではずいぶんとヒットしたはずなんだけど、どこがいいのやら。


2007年08月26日

 寝る前に古い映画を2本観た。はじめにデビッド・リーン監督の『逢びき』、そして次が『カサブランカ』である。いずれもレーザーディスクにて。
 
『逢びき』を観るのは今回が初めてだ。こういうシチュエーション、いまならどこかのラブホに入ってサバサバと別れて終わりってとこだろう。それじゃぜんぜんドラマにならんよね(笑)。この映画の時代だと、妻子ある医師と人妻が高校生みたいな恋に陥るなんて展開も、それなりのリアリティがあったのだろうな。まあ、いじましいまでのイライラ感、70年代少女コミックの恋愛ストーリーをギャグとしてではなく真正面に受け止められる人なら、十分に感情移入できるだろう。
 
『カサブランカ』を観るのは何十年ぶりだろう。それでもここぞというシーンはけっこう覚えているもの。オレはそれほどボガードが好きなわけではないんだけど(煙草をふかす仕草はせこい感じだし)、やっぱり最後の場面は渋いと思う。それにしても、警察署長のルノー、役がおいしすぎるよね(笑)。
 
 この映画でけっこうジーンとくるのは、リックの店でラ・マルセイエーズを客が合唱する場面だった。最後にルノーが「Vichy」のラベルが入ったガス水をゴミ箱に捨てるところは笑える。


2005年08月10日

監督:ピーター・ハイアンズ
出演:ロイ・シャイダー、ジョン・リスゴー、ヘレン・マレン
Laser Discノートリミング版
 
 あの『2001年宇宙の旅』の「続編」ですが、この映画、監督よりも出演者よりも、SFX担当のリチャード・エドランドの名が響いていたような記憶があります。
 
 ウロオボエの記憶ですが、「特殊効果」という言葉が「SFX」に置き換わったのは、『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』公開の1977年ぐらいからで、それから『レイダース 失われた聖櫃』(1981年)、『ブレード・ランナー』(1982年)、『ポルター・ガイスト』(1982年)などで一気に注目されるようになったのではなかったか、と。1984年には『2010』以外にも、『ネバーエンディングストーリー』『グレムリン』『ゴースト・バスターズ』なども公開されていますね。で、そのなかでカリスマ的な特撮技術者がリチャード・エドランドとダグラス・トランブルだった、と思います。
 
 80年代前半は、大型テレビ(25〜29インチ)、レーザーディスク、サラウンド・プロセッサ(ドルビー3ch)が普及しだした時期で、それにあわせてSFXを「売り」にした映画がビデオやLDでヒットしましたね。たしかLDなんかのセールでも、「SFXはリチャード・エドランド!」なんて煽りもあったはず。本来、裏方であるはずなのに、このころはすっかりと中心人物になっていましたね。ということは、この時期は映像づくりの一段転機であった、ということなんでしょう。
 
 そういえば、NHKプロデューサの吉成真由美がSIGGRAPHで注目されたのって、このころだったんじゃないのかな。吉成さん、その後はノーベル賞受賞者の利根川進と結婚したけど、当時からCGに興味を持っていた者にとっては、利根川さんの方が「あの吉成真由美のダンナ」という感じでした。
 
 リチャード・エドランドの手による『2010』のSFX、木星が太陽に変わる場面など、映画館公開当時に見たときにはけっこう興奮したのですが、現代の水準に慣れた目でみると、やはり子供だましに映ってしまう。木星大気圏でのエアブレーキの場面なんかも、ウルトラ・シリーズって感じですし。まあ、技術水準が違うのだから、仕方のないことなんですけど、逆に、数十年たっても色あせない『2001年宇宙の旅』の凄さを再認識させられちゃいますね。
 
 ついでながら、エドランドが手がけたSFX映画でいちばん好きなのは『ポルターガイスト』です。


2005年08月09日

監督:ジャック・リベット
出演:エマニュエル・ベアール、ジェーン・バーキン、ミシェル・ピコリ
 
 長かった。なにしろ239分ですからねえ。こんなに長い映画を観たのは、『風と共に去りぬ』以来……というか、ほかに4時間クラスの映画って、なにかあったっけ?
 
 カンヌ映画祭に出品された当時、ベアールのヌード場面が話題になりましたね。たしかに後半2時間はほとんど裸です。このときベアールは何歳だったんだろう。いやその、乳の形がすげぇ良かっただな。正面から見ると、いわゆるロンパリ型の開き乳なんだけど、斜め前方から見た形状が抜群ですね。ツンと尖った感じといい、弾力の良さそうな張り具合といい、ええもん見さしてもらいましたわ。
 
 ストーリーは、あってないようなもの。モデルと画家の「対決」場面ばかりですから。マリアンヌ(ベアール)がどうして突然モデルを引き受ける気になったのか、とか、老画家(ピコリ)がなぜ「美しき諍い女」なら描く気になるのか、とか、なぜかつてそれを断念したのか、とかを描写する場面もなし。
 後半は、場面のほとんどがアトリエでの画家とモデルを描くものだったので、舞台を見ているような気分になりますね。
 
 ちょうど半分が過ぎたぐらいで、ちょっと飽きてしまいましたが、一応、最後まで見ることができました。気まぐれで勝ち気なマリアンヌが終盤で文字通り「諍い女」になっていくところは、緊張感がありましたね。
 
 この映画、デッサンを描く場面でスケッチブックがクローズアップされるところが多いのだけど、それをひきさくペンの音が神経質なまでに響きます。画家のしぐさもえらく神経質だし、マリアンヌもしじゅうタバコを吸っている。これらの神経質さが最初はいらだたしかったのだけど、逆に、画家が集中していく展開になると、こちらも知らず知らずのうちに集中させられてしまうので、まあ、一体感を引き出す効果になっているのでしょうかね。
 
 モデルを演じるベアール、気まぐれで、突飛で、ちょっとタカビーで、スタイルがけっこう良くて、挑発的なんですが、これって20代のころの秋吉久美子だよな、なんて思ってしまいました。


2005年08月08日

監督:ハワード・ホークス
出演:ゲーリー・クーパー、ウォルター・ブレナン、ショーン・レスリー
 
 昨夜はもう1本見ちゃいました。これもLaser Disc版です。
 35年ぐらい前に一度、日曜洋画劇場か何かで見たハズなのですが、そのときはヨーク伍長がドイツ軍の大軍を一人で捕虜にする場面しか覚えておりませなんだ。今回見て、なぜその場面しか記憶になかったのか納得。だって、それまでは貧乏な百姓のセガレが、自堕落→恋に目覚める→勤労青年→敬虔なクリスチャンと変貌する過程を描くのみで、子どもにおもしろかろうはずがない(笑)。
 
 主人公が、愛の精神と戦争という殺人行為に加担することに葛藤するところが、この映画の一つのクライマックスなのでしょうけど、葛藤を克服したロジックが「戦争は自由を守るためのもの」ですから、このころから今にいたるまでのアメリカ精神の一貫性を感じることができます(笑)。
 
 この作品で主演男優ゲーリー・クーパーは、「市民ケーン」のオーソン・ウェルズを抑えてアカデミー主演男優賞を受賞しています。こっちの方が、アメリカ人好みなんでしょうねえ。


2005年08月07日

 いずれもLaser Disc版です。
 
『レオン』リュック・ベッソン監督
ジャン・レノ、ゲリー・オールドマン、ナタリー・ポートマン出演
 
 あの「パドメ」のデビュー作ですね。トチ狂った麻薬捜査官に家族を殺された少女(ポートマン)と、隣人にして街の始末屋(レノ)との共同生活と少女の復讐を描いた物語。ポートマンのデビュー作ですが、小悪魔的なませガキぶりが、優等生パドメよりもハマった感じですね。
 凄腕の始末屋なのに、毎日かならず牛乳を飲んだりとか、鉢植えの植物をやたらていねいに育てたりとか、タフガイではない雰囲気はいいっすね(笑)。シティ・ハンターの遼ちゃんみたいなもんだな。
 ストーリー自体は「ありがち」なもので、展開も予想通りに進みますが、ラストの「マルチナの贈り物」の場面はなかなか。イカれた麻薬捜査官の「Shit !」のセリフが生きてます。
 
 
『エレベーターを降りて左』エドアール・モリナロ監督
エマニュエル・ベアール、リシャール・ボーランジェ、ファニー・コタンソン出演
 
 人妻に恋した画家、隣人にして嫉妬狂いの画家、その恋人の「勘違い」の積み重ね……だけのストーリー。よくまあ勘違いネタだけで2時間もの映画にできるもんだわ(笑)。ベアールの「お色気」が売りの映画なんだろうし、まあ、けっこういい感じではあるのですが(笑)、ファニー・コタンソン演じる人妻の方がオレ好みです(笑)。勘違いの積み重ねは、見ていてけっこういらつくのですが(ということは、ストーリー的には成功している、ということ)、最後がそれなりの「一件落着」というのは、フランス映画としてはちょい不満。やっぱりどこか破綻してなきゃね(笑)。



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