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この日記について
この日記は、他のリソースから転載したものが大半です。 2005年3月以降の日記は、mixiに掲載した日記を転載した内容が中心です。一部は実験的に作成したblogに書いた内容を移植させています。 2001年の内容の一部は、勤務先のweb日記に記載したものです。 1996年〜2000年の内容の多くは、旧サイトに掲載したphoto日記を転載したものです。 1992年6月〜99年9月の日記の大部分は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。 |
電車は Nuit St.George あたりを通過したようだ。
隣のコンパートメントには、にぎやかなグループがいるらしい。なにかで大騒ぎしている振動が、背中越しに伝わってくる。
菜の花畑のじゅうたんの間には、まだ伸びはじめたばかりのぶどうを連ねた畑がひろがる。線路の東側は、どこまでも平坦な畑だった。
おそらくほとんど直線に進んでいるであろう線路にそって、道路が平行してはしっている。コンパートメントの反対側なので、車の流れはほとんど見えない。どうせほとんどまばらだろう。
ほんの三時間ほどまえ、小杉さんを送るためにディジョンまで行ってきたばかりだった。ロンドンに帰る小杉さんは、ディジョンからパリまで一足先にもどったのだ。
われわれは小杉さんを送ったあと、車を返すためもあってボーヌに引き返した。乗り捨てで借りておけば、こんな面倒なことはしないですんだ。借りるときは、そこまで頭がまわらなかったのだ。
もっとも、ボーヌなら引き返すだけの魅力は十分にある。
でも、いまははやくパリに帰って、ごろりと横になりたい気分だった。胃の方はあいかわらずもたれている。
* *
ときおり小雨がふるなか、ディジョンの市街にはほとんど留まらず、ボーヌ方面に向かった。別れた小杉さんにかわって、町田さんが運転する。
町田さん、左ハンドルはひさしぶりだそうだ。それでも、田舎の幹線道路なので、いちど動いてしまえばあとはスムーズにいったようだ。
途中、Clo de Vougeotに寄る。
前日訪れたときは、すでに見学時間が過ぎたあとだった。管理人が門のところにいて、明日の朝にでもいらっしゃいと告げていた。建物や畑の写真は撮らせてもらったが。
この日は再挑戦というわけだ。
ディジョンに向かう途中で寄れば、小杉さんもいっしょに見ることができた。
「それは次の楽しみにとっておくよ」
小杉さんも仕事と遠足の連続で、ちょっと疲れ気味だった。
畑の間のせまい道を抜け、城の門の前にたどりつく。車がすれ違えるくらいの幅の出入口を、団体客がぞろぞろと通過する。なまりの強いフランス語だったから、南仏あたりのバスツアーだろうか。門の前には観光バスがとまっていた。
彼らが全員通過したあと、町田さんが車を動かし、われわれは城の前にある駐車場に向かった。
「だめだよ、ついてないな」
思わずこぼしてしまった。
「え、閉まってるの?」
町田さんが少しがっかりしたような声でいった。
「いま昼休みですよ」
入り口の案内をみたら、ちょうど5分前から昼休みにはいったところだった。次の見学時間は2時間後。これではレンタカーを返せない。
「引き返しますか」
カミさんとふたりでうなずく。
この Clo de Vougeot のすぐさきには、試飲のできるシャトーがあった。とりえず車でそこに向かう。せっかくブルゴーニュまで来たのだから、試飲ぐらいはしてみようということで意見が一致したのだった。
「ああ、いまちょうど満員なの。入れないわ」
駐車場に車をとめた直後に、シャトーのなかから女性が告げた。
「待ってても無理?」
「お客さんたち、いま入ったばかりだからね」
彼女がシュラッグした。
多分、Clo de Vougeotで入れ違いになった団体客が、ここでワインの試飲をしているのだろう。
「仕方ないか」
またしても三人でうなずきあう。
彼女に向かって手をあげ、ひところ礼をいい、すごすごと車に戻った。
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