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この日記について

この日記は、他のリソースから転載したものが大半です。
2005年3月以降の日記は、mixiに掲載した日記を転載した内容が中心です。一部は実験的に作成したblogに書いた内容を移植させています。
2001年の内容の一部は、勤務先のweb日記に記載したものです。
1996年〜2000年の内容の多くは、旧サイトに掲載したphoto日記を転載したものです。
1992年6月〜99年9月の日記の大部分は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。

1994年06月08日

 駅の出口のところでは、なにやら所在なげな酔っぱらいが4人ほどたむろしていた。階段には、物乞いとおぼしき老人が腰をおろし、顔をうつむけたまま、右手をずっと差し出していた。
 メトロ4番がレ・アールを過ぎ、さらに東駅を越えると、乗客の雰囲気が明らかに変化する。
 4番の停車駅といえば、左岸であれば、サンミッシェル、オデオン、サンジェルマンなどだ。花の5区、6区をつっきる。車内にはお洒落な雰囲気のひとが多い。
 ところが、レ・アールより北になると、浮浪者風の「乗客」が増える。その多くは、駅と車内を寝床にしているひとたちだ。酔っぱらいも多い。
 別に彼らが乗客に危害を加えるわけではないのだが、オデオンあたりから乗ると、雰囲気の変化に正直いって戸惑ってしまう。
 Chateau d'Eau の駅を出る。酔っぱらいたちの「とぐろ」を無視する。
 なんだか街がほこりっぽく感じる。そこかしこに、所在なげなひとたちがたむろする。カフェは場末のような雰囲気で、昼から「できあがっている」ひとたちが多かった。
 待ち合わせの場所は、アパルトマンの入り口だ。建物の位置は詳細な地図で確かめておいた。
 まずは、そこに向かう。
 駅からアパルトマンまで、ほんの2、3分の距離だった。狭い通りを50メートルほど進むと突き当たり。そこを右に曲がってまもなくの場所だ。
 あとでわかったことだが、この突き当たりの通りは、パリでも有名な食材店が密集するところだった。たしかに初めて訪れたこのときも、肉屋、八百屋、魚屋が多いことに気がついた。アパルトマンと反対の方向に向かえば、店の数はもっと多く、そして雑多だった。
 暑い。陽射しがしみる。
 小さなスーパーに入り、よく冷えた7UPをひと缶買った。一気に飲み干す。炭酸は気分がよかったものの、甘みがくちに残った。
 アパルトマンの場所はすぐに確認できた。
「庶民的」ということばを思い出した。
 近くには店がたくさんあり、いかにも庶民的な商店街のまっただなか、という雰囲気だった。それはそれで、生活の便はいいだろう。
 そこかしこにたむろする、所在なげなひとたちが気になる。別に彼らがなにをする、というのではない。が、パリ生活初心者には、正直言って、どことなく不安感を抱かせる光景だ。
 待ち合わせの場所にもどる。ランデブー時間の約2分前。
 ほぼ時間ジャストに、大家さんの日本人女性が到着した。


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