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過去の日記一覧


この日記について

この日記は、他のリソースから転載したものが大半です。
2005年3月以降の日記は、mixiに掲載した日記を転載した内容が中心です。一部は実験的に作成したblogに書いた内容を移植させています。
2001年の内容の一部は、勤務先のweb日記に記載したものです。
1996年〜2000年の内容の多くは、旧サイトに掲載したphoto日記を転載したものです。
1992年6月〜99年9月の日記の大部分は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
■ 留学カテゴリー

カテゴリ「留学」に投稿されたすべてのエントリのアーカイブのページが、新しい順番に並んでいます。
一つ前のカテゴリーは、「理系ネタ」です。 次のカテゴリーは、「研究ネタ」です。

1995年04月01日

 3年前、最初に通ったのは Alliance Francaise でした。ESSEC の授業が8月末から開始だったので、7月ぜんぶと8月の前半は語学に全力をあげようと思ったのです。
 Allianceに決めた動機は、日本からの手続きが簡単だったから。たしかフランス語教育振興センターでもらったパンフレットをもとに、ファックスで申し込んだと思います。授業料の前払い金は日比谷にある Credit Lyonnais東京支店で送金用小切手を使い、書留便で郵送しました。さすがにおおくの外国人を受け入れているだけあって、書類などは非常に手際
よくそろえてくれました。
 ここは premiere inscription の際に、テストがあります。ただ、全員が一斉にやるわけではなく、テスト会場入り口に受け付けがあって、そこでテスト用紙をぽんとわたされ、空いている机でやる。時間無制限。すべて文法問題で、形式は5択方式です。
 できあがると回答用紙を受け付けにもっていく。そこでセルロイドを重ね、正答率がどのくらいかを grosso modoで判断される。
 中級以上と判断されると、こんどは自由作文を書かされます。だいたい15行程度。これがおわると、コンサルタントのところに行け、といわれます。ここで自分の希望する時間帯とかを言って、niveauも含めた割り振りが決定します。
 テストは文法中心なんで、日本人がやるとたいてい成績がいいんですね。すでに NSF3 をやっているひとなら、確実に niveau superieurをすすめられるでしょう。反対にスペイン系生徒は会話力があっても文法の穴があるんで、ほとんど不自由なく喋れても、初級クラスにいくよう指示されることがおおいみたい。


1994年11月02日

留学7対3

 パリ第7大学は人文学部、文学部、保健学部で、わりとごっちゃになっています。同じ文学系でも、第3大学と第7大学は犬猿の仲といわれています。パリ大学分割の際に、学問上で対立するグループがそれぞれに別れたそうです。第7志望者は決して第3を併願しているとはいわないこと、だそうであります。第3もまたしかりでござるさふです。


1994年10月28日

 おとといよーやく大学の登録が終わった。語学試験の結果が歴史的メロメロボロボロぐぢゃぐぢゃだったんで、今度こそいよいよ帰国かなと観念していたのであった。でも、試験結果が発表になる前に、登録手続きが終わっちゃったのね。あの6時間にも及ぶ試験はいったいなんだったの?(;_;)
 こんど登録したのは、
 Universite de Sorbonne Nouvelle (Paris 3)
 Departement de Science et Technique de la Communication (DESTEC)
 というところです。プログラムは D.E.A des Sciences de l'information et de la communication ってやつです。この Paris 3はうちから徒歩6分なんですね。前の Pantheon Sorbonneはムフタールを突っ切って徒歩20分で、これも楽だったけど、こんどは本当に大楽勝なのであった。去年は Orsayでやる授業もあったんだけど、今回は外部教授が Pantheon なんで、どっちにしても歩いて通えます。


1994年03月27日

 フランスの大学の授業料は嘘のように安い。だから、当然授業料なんて子供が払うケースが多いわけだ。でも、日本の大学の授業料は、はじめから保護者負担が前提になっているようなものでしょ? だから、どうしても他人事になってしまうのではないだろうか。
 おれ、学生時代は自分で授業料を払っていたから、デモも結構まじだった。まあ、3年、4年のときは授業料免除制度を利用したから、結局4年間で28.8万円払っただけなのだ。奨学金でおつりがきちゃったもんな(笑)。
 主張に興味を示さないというのは、情報の受信に慣れきったからだろうね。まあ、世の中これだけ情報があふれていりゃあ、仕方ないかもしれない。でも、そういう社会は極端に煽動やパニックに弱いんだよ。なんか、伝え聞く米騒動もそんな根っ子があるような気がするなあ。


1994年02月23日

 こりゃもう、大学によって全然違うだろうから、一般論ではいえません。ぼくの取っているプログラムだと、評価の比率ははっきり決まっています。試験:セミナー:論文=4:2:4です。したがって、理論上、試験の評価がゼロでも卒業は可能です。ただし、セミナーの評価は試験とリンクしているので、実際はまんべんなく評価を得ておかないと、合格点には及ばない。
 論文のテーマ——Sujet du Stageは、我々の場合、セミナーの担当教官から与えられます。だから、事前準備は全く不可能なんですね。ただし、これはあくまで理系のはなしだから、文学系はまったく状況が違うと思う。教授に問い合わせれば教えてもらえると思います。
 正直言って、DEA はかなりしんどい。内容的にも作業量の点でも。拘束時間は少ないけど、しこしこやんなきゃならないことが多い。今のプログラムは最初26人いた生徒が、今は14人しか残っていません。まあ、一種のサバイバル・レースみたいなものだな。
 語学力の点では、専門用語をよーーーっく叩き込んでおくこと。そうでないと、瞬時に脱落してしまいまっせ>留学志望者。 これは一般の会話力とは別次元だからね。


1994年02月22日

 ぼちぼち次のテーマを進めるための、大学&師匠探しを始めました。現在通っている Pantheon-Sorbonneの UFRは、実質的内容からすると JUSSIEU、つまり理学系なんです。ぼくの興味の対象は、理学系と社会科学系の境界なので、ある部分はここでも満たされるのですが、それ以上になると、ほかを探さなければならない。さっそくリストを調べてみたら、RENNE 2、Sorbonne Nouvelle、Grenoble 3に同じ分野の研究者が多数いました。
 RENNE とかにすると引っ越さなければいけなくなる——という心配もなくはないのですが、友人の話では、THESE の登録は各大学でやっても、実作業は自宅か近所の大学図書館・ラボでできるので、場所は全然関係ないなんていってました。現に彼は、在パリのままで RENNE 2に登録しようとしていました。たしかに教授の住所を見ると、Grenobleや Renne大学の教授がパリに住んでいる例が、リストにもかなりありました。
 まあ、その前に DEAを取らねばどうしようもないんだけど。これが結構危ないんだわ。先日の試験はめろめろであった。


1994年01月27日

「講師」「助手」に相当するのは、
 enseignant
 chercheur-enseignant
でしょうね。これが「講師」「助手」ぴったしの訳というわけではないんだけど、制度上、該当するのはこれでないかなぁ。
 大学に貼ってあった公募広告によると、these を取り立てのひとを対象にしていたのが「chercheur-enseignant」であった。まあ、ほぼ助手と講師の中間という感じだと思うけど。「assistant」 だと事務系職員を指すような気もする。ちょっと自信ないけど、「秘書見習い」とか。
 ESSEC でも「professeur adjoint」は使っていますよ。「Monsieur le professeur」もよく使いますね。気をつけなければいけないのは、偉い教授だと理事を兼ねていることがあるから、「Monsieur de direc-teur」としなきゃならんときも多い。

はい、○○科教官室ですLe bureau de XXX, bonjour.
N助教授はいらっしゃいますかLe professeur N, SVP.
少々お待ち下さいNe quittez pas.
現在席をはずしておりますが、10分後には戻ると思いますIl(Elle) n'est pas la. Il(Elle) va revenir dans 10 minutes.
失礼ですがどちら様ですかC'est de la part de qui?
××出版社のものですが、また折り返しお電話します/伝言おねがいしますIci,c'est X. Je vais rappeler un peu plus tard./Vous pouvez laisser mon message?

「Ne quittez pas」はきまり文句ですね。
 最後は「Vous pouvez transmettre mon message a ***?」でもいい。「もう一度かけて」は「Essayez encore une fois dansquelques heurs/apres-midi/etc.」なんてのもある。
「暫く席をはずしている」なら「Il(Elle) n'est pas la pour le moment.」でも大丈夫。これは当分いないの意味にもなるし。で、いつ何時に戻るか聞かれたら、「Je ne sais pas.」 って無情に言っちゃう。ただ、その場合には一応「Je vais laisser votre message?」と聞いてあげましょう。

1993年12月09日

 文法的な間違いはあるかもしれないが、ほぼ実際の用法に即していることを保証する。

- Salut, RIE!
- Salut, Massa! Tu va bien?
- Oui, oui, tres bien, et toi.
- Tres bien! Au fait, tu sais que le cours de mathe(*1) est reporte?
- C'est pas vrai!
- Si, si, c'est affiche.
- Oh, purtain...mais pourquoi?
- Ben...le prof(*2) est malade, et il est absent pour le moment.
- Ecoute! Je me suis leve tres tot le matin pour ce cours!
- Mais, attend! De toute facon, on a le cours de compta(*3) cet apres-midi.
- Hun...t'as raison.
- On va au resto-U(*4)?
- Ouais...Oh! Merde! J'ai plus de ticket!
- Je te vend ce truc(*5).
- Ah, c'est sympa! C'est combien?
- 12 balles(*6).
- Ok...12 balles...tiens!
- T'as fait le cas de compta?
- Du tout. C'est difficile?
- Non, parce que j'ai un tres bon bouquin(*7), et le meme cas est montre dans la.
- Et RIE, comment se trouve ce truc?
- T'as pas vu le reference de biblio(*8)?
- Ah...non, parce que j'ai pas de poly(*9).
- Oh, Massa, c'est fou! Demande au prof!
- Oui, oui, je fais ca. Et euh...On peut acheter ce bouquin chez Gibert?
- Non, il est epuise. Y avait qu'un exemplaire. Si tu veux, tu peut faire des photocopies.
- Oh, RIE! Hyper sympa. Je t'aime ...(chu).
- Arrete, Massa!

【略号解説】
 (1) mathe → mathematique(類:informatique → info)
 (2) prof → professeur
 (3) compta → comptabilite
 (4) resto-u → restaurant universitaire
 (5) truc : あれ
 (6) balle → franc
 (7) bouquin → livre
 (8) biblio → bibliographie
 (9) poly → polycopie(s)


1993年12月08日

 昨日から Univ.Paris Sud での講義が始まったので、オルリー空港のさらに先にある Orsayまで行って来たのでした。
 大学キャンパスが広かった。丘があって、古い城壁みたいな壁があって、校舎はあちこちに分散しとる。どうせ入り口に守衛がいるだろう、と安易に思っていたら、ゲートっぽいところもなければ、守衛、インフォメーション一切なし。そもそも時間表には Salle 13 とだけ書いてあって、どの建物かわからない。こりゃ困ったと思って、適当な建物に入って聞いてみたら、知っている人がいない。でも、たまたまそこに居合わせた人が場所を知っていたので、何とかたどり着くことができた。
 どうも狭い敷地や校舎に慣れてしまっていたので、広いところに行くととまどってしまうのだ。


1993年11月22日

 ポアンカレで特に有名な業績は幾何学に残した成果。
 幾何学と行っても、ユークリッド幾何学を想像してはいけない。彼が成し遂げたのは、n次元の曲面上の幾何学なのです。だから空間の歪みを扱った相対性理論に登場してきてもなんら不思議はない。5次元以上の幾何学は、全てポアンカレが基本的問題を解決してしまった。「エキゾチック球面」なんて用語も確かポアンカレ発案かな?
 こういう超空間的概念の持主だけあって、絵画の才能は凄まじかったらしい。ポリテクニックの入試ではあやうく絵画の成績で落とされそうになった。しかし、彼の才能を知るポリテクニック教授陣の尽力で、無事このエリート校に入学できたというエピソードが残っている。
 ところで江下が現在頭をひぃひぃ言わせている分野は、どちらかというと数理論理学や数学基礎論なんです。ヒルベルトやゲーデルの世界です。ほんと、このとこ胃が痛いのなんのって。だって、全然全く解かんねーんだもんなー、やんなっちゃうよお。(T_T)


1993年11月19日

 12年ぶりの数学復帰はなかなか苦しい。30代の脳味噌に、記号の遊戯はかなり負担が大きい。仕方なく、今日は参考文献を探しにジベールまで行ったのでした。
 ことで悩みが一つ。
 目当ての本は数理論理学の分野で、アメリカが一番得意としている。当然、いい文献は英語で出ている。おまけに日本の数学教室では英語の用語を日常的に使うため、英語のテキストには何ら抵抗がない。本来ならば、英文書籍をためらう理由はないのです。
 が、しかし、授業で使う用語は当然フランス語。そうなると、英語の解説に慣れてしまうと、講義で使われる用語がますます脳味噌の混乱を招いてしまう。
 一例を挙げると、日本の数学教室でも「集合」「写像」とは言わない。たいてい「set」「mapping」なのです。従って、集合論に関するイメージは、全てset や mappingという用語から誘発される。しかし、講義では ensemble であり application。ぼくの脳は、ensembleと言われても未だに「集合」をイメージできない。数学では論理以上に直感が大事なので、これは大きなハンデなのです。
 いやでもフランス語のターミノロジに慣れなければ、ということで、結局英語文献のフランス語訳を買うという、痛しかゆしの事態になってしまった。


1993年11月16日

 登録証明書を貰ったのが10月18日。ほぼ一ヶ月たった。日、ようやく正式登録が終わって、学生証を貰えた。
 思えば挫折4回。最初に行った日はコンピュータ・システムのメンテで事務所がクローズ、2度目、3度目は入場規制のエレベータを待つ巨大な行列にびびり(推定待ち時間=2時間)、4度目はまたしてもシステムのストップで断念。今日、五回目にしてようやく登録、授業料納付、学生証付与となったのでした。
 それにしても国立大学の授業料って、どうしてこんなに安いのだろう。たったの 535Frs ですぜ! 日本円にして、1万円にもならないのだ。図書館の利用料、健康診断受診料を含めても、総額で 658Frs だよ! 私立系グランゼコールは確かに年額7万Frs くらいするから、日本の私立大学並みなのだけれど、何で国立はこんなに違うのだろう? アメリカに比べたら日本も安い方だけど、それでも今は30万くらいでしょ? ぼくが入学した年だって144Kしたもんなあ。
 授業料が 600Frs 足らず、保険が確か 800Frs くらいだったかな。諸々の雑費を含めても2Kには満たないでしょう。
 保険だけちょっと確認した方がいいかも。学生の共済だと保険料も安くて、還付率も低いのですけど、S.S.Personnel だと結構メリットあるから。これは最低保険額が年間 8000Frs近いんです。高い代わりに保険で医療費の8割前後が返ってくるし、出産費用も全額国家負担になる。実は現在 S.S.Pに加盟しようかどうか、結構まじで考えている。


1993年11月06日

 ミニテルでの登録はパリ大学でも可能ですが、これ、正確に言えば「予備登録」 PRE-INSCRIPTIONなんですよ。この証明書を持って大学事務所で正規の手続きを踏み、授業料を納めないと、学生証は発効してもらえないし、学生とも認められないんです。我が社だと正式登録の事務所がトルビアックにあって、昨日手続きをした同級生の一人は、都合45分並んだと言っておりました。こうなると、多少の選抜試験くらいあった方がいいと思ったりもします。
 登録自由という制度は、選抜試験の厳しい日本からは結構称賛されていますが、弊害もかなりあることを認識すべきですね。最初の一学期は学生が多すぎて廊下で授業するクラスもあるそうですから。第一、授業のペースも学生のレベルがまちまちなため、結構かきまわされることが多いらしい。


留学板書

 実は一時期 PowerBook 100をノート代わりに使っていました(冗談ではなく、事実だったのです)。ところが、ある日ファイルをセーブするときに爆弾だ出てしまいまして、それから「紙」に復帰しました。
 フランス人学生は白紙を使うか、あるいはあの楽譜を書くような線のいっぱいある紙を使うことが多いようです。ぼくは「楽譜」の方です。
 鉛筆を使う人は小数派です。シャーペンはまれですね。大抵が万年筆です。ボールペンも少ないと思います。ですから、消しゴムの代わりに修正液をみんな持参しています。試験中に修正液を忘れたやつは、「Blanc!! blanc!!」と叫びます。するとどこからか修正液が飛んできます。一応栓はしてありますが。
 黒板に書いてある内容がテキスト文だけだったら、絶対にタイプ入力の方が速いと思いました。キーボードだとブラインドがききますからね。手書きだと紙を見て書かないと、字がうねってしまう。


1993年11月04日

 今日、ディプロムの授与式がありました。式と言ってもおっさん数名の演説の後、二手にわかれて機会的にディプロムを渡されるだけです。ラフな格好で来ている連中も多かったし、欠席している生徒も多かった。マリー・ピエールも来てなかったし。
 実はMEMOIRE の最終版も今日提出したのでした。ディプロムと一緒に貰った成績表を見たら、取ってもいない授業にスコアがついていたりして、まあ本当におおらかな国だわ(笑)。


1993年10月20日

 口頭試問は何とか終わりました。memoire のスコアは出血大サービスで13/20 です。これ、「問題なく通過」(bien passe)の最少スコアです。9〜11が「条件付き通過」、12が「何とか通過」です。ただ、「出血大サービス」というのは、「本来なら11だけど、不足部分(実はかなり規定を無視していた)を11月3日までに提出すれば」という条件付きみたいなものです。
 それにしてもフランス語が、物理的に喋れなくなってしまった。頭の中では結構スムーズに文章は浮かぶのだけれど、それが口に出てこない。ほぼ3ヶ月のブランクは結構厳しい。明日から大学の授業が始まるというのに....。不安。
 DEA コースは講義が少なく、年内は週4コマのみです。1コマ3時間ですから、週12時間ですね。これはESSEC の半分以下です。その代わり、3e cycleだと複数の大学が共同で授業を行うため、4コマの授業を受けるにも、月曜はオルセー、水曜はソルボンヌ、木曜はパンテオンに行かねばなりません。


1993年07月08日

 多分、出生証書の代わりということで間違いないでしょう。結婚証書の代わりには戸籍謄本が用いられます。法定翻訳の方は確か抄本も謄本も殆ど変わりがなく、謄本の場合も奥さんの旧姓を書き込むだけだったと思います。
 フランスでは結婚しても男の姓が変わることがないので、申告書類で家族関係の記入欄がある時、母親の旧姓を記入しなければならないことがあります。私の家ではオヤジが入婿の形になっているため、姓と母親の旧姓が同じになってしまう。滞在許可の初回申請で担当者から質問されまして、その時、日本では男の方が姓を変える事もある故を説明しなければなりませんでした。


1993年07月06日

 証明書の類はまずフランス語でなければ駄目だと思っていた方が良いですね。銀行の残高証明でさえ、フランス語訳が要求されます。唯一の例外が日本のフランス領事館で受け付けてくれる書類(例えばTCの領収証や送金伝票)だと思いますよ。だから、書類はフランス語で揃わなければ、日本語で持っていた方が確実だと思います。
 あっと、無論大学等に提出する書類は別です。あくまでもオカミに出す書類はフランス語でなければ、という意味ですから。


 東京海上のいい点は、ヨーロッパ地区のサービスセンターがパリにあり、しかも全て日本語で対応してくれるのですよ。私のカミさんが風邪をこじらせた時も、私が不在でございまして、全て日本語で連絡し医者の手配から何やらして貰ったそうです。学生共済だとこうはいきませんから。
 スリにあった時の対応も全てパリセンターで教えてくれたそうです。


1993年07月05日

 学生VISAですと滞在許可申請は書類受理から大体3週間でテンポが発行されます。受付でやいのやいの言われますが、VISA取得と言い長期滞在の行政手続きでは一番簡単と言ってよいでせう。
 無論、様々な制約もあります。サラリーに基づく就業ができないのは当たり前として、実は運転免許でも労働VISA滞在とは異なるそうです。在仏日本人会で聞いた話しによると、法令が変わって学生VISAでの滞在者には、滞在年数に関係なくフランスの免許は交付されなくなったとか。従って、フランス国内で運転するには日本の免許に法定翻訳をつけるしかないそうです。尤も、人によって言うことの違うのが当たり前なフランスのこと、しらばっくれて県庁に行けばそのまま免許を貰えるかもしれませんね。
 スポーツといふと、私のクラスにはフット狂が揃っておりましたゆえ、大きなゲームの際は必ずトト*ルチョがありましたね。放送を見るために授業時間が短縮されたこともありました。


 東京海上で掛けた保険の内容と保険料は次の通りです。

 傷害死亡:10,000K yen
 傷害治療: 6,000K yen
 疾病治療: 6,000K yen(以上3つは必須セット)
 疾病死亡: 0K yen(!)
 賠償責任:50,000K yen
 携行品 : 400K yen

 怪我で死ぬことはあっても、病気で死ぬことの確率はほぼ0であると独断しました。これが結構ミソで、疾病死亡を0にするとかなり保険料を節約できるのです。反対に、国が国だけに賠償責任と携行品は掛けた方が良いと判断しました。目一杯掛けても料金に大差なかったしね。
 以上の内容で年額53,490円です。保険料自体はどの会社でも同じでしが、東京海上ですと前にも言った通り、パリ事務所でフランス語のAttestation をその場で作って貰えるのです。これはメリット。
 学生共済だと確か800Frsであったと思います。ただ、実際に病気などの際の還付金が20% 程度だったのでない? その点旅行保険だと全額返って来ますから、どちらが得(?)かは結構微妙なところかもしれない。


1993年07月03日

 Etat civilの法定翻訳は本当ーーーーーーーーに箇条書きなだけだから、ひな形があるなら絶対に自分でやることを勧めますよ。在仏日本人会から郵送されてきた翻訳を見て、「ええーーーーー、これで100Frsも取るのかよぉ!!」と思わず叫んだのは私です。ましては2万も取られたら、一生(一笑?)根に持つか、あるいはいつか法定翻訳官になって搾取する立場になろうと決意することでせうね。
 それよっか飛−行機の方は?私は年に1度は日本に帰る用事があるので常に大韓航空の1年オープンを使っていますけど、2年間滞在しっぱなしなら当然ワンウェイ?ひょっとするとツアーチケットの帰り放棄の方が安かったりして。因みにパリ発東京のワンウェイは大韓で4,900Frs、AOMで3,900Frs、アエロフロートで3,000Frsです。不思議とシーズン変動は日本ほど大きくない。今の円高だとパリ発券の方が大分安いですね。去年のレートだとほぼイーブンでしたけれど、10月の料金改訂でどうなることやら。


1993年07月02日

 法定翻訳はパリにある在仏日本人会ですべて扱っています。戸籍抄本・謄本、住民票、免許証等の公文書であれば、1通100Frsです。火曜または金曜締めの受付で、翌受付締め日出来上がりです。ですから、日本で高い金を払って作成するよりも、パリで作成した方が安くすむでしょう。郵送でも対応してくれたと思いますよ。
 Assurence については、滞在許可証の初回申請では必要ない場合が多いのです。更新の時は要求されますが。とはいえ保険は必須なので、必ず取っておくこと。また、地方によっては要求されるかもしれません。一番簡単な方法は、海外旅行保険でしょう。私もこれを使っております。期間は1年ですので、満了の直前に更新を申し込みました。保険代は掛け方にもよりますが、数万円/年です。東京海上など大手の業者ですとパリに駐在員事務所があり、仏文のAttestation はその場で無料で作ってくれます。学生であれば学生共済の保険に加入するという方法もありますけどね。
 必要な証明書は簡単に言えば、「学校」「金」「家」と無論VISA付きパスポートですから、これに併せてファイルしておくと良いでしょう。全ての書類についてコピーを忘れずに取っておくように。そして、仏文よりも日本文のオリジナルの方が重要ですからご注意。仏日の法定翻訳はパリで行えますけれど、日本語オリジナルは日本から送って貰わないかぎりどうしようもない故。
 写真はフランス国内にもスピード写真機が大量にありますゆえ、あせって用意する必要はないでせう。4枚20Frs だからかえって日本より安い。ただ、フランス国内のフォトマトンはカラーが多いので、白黒を多少用意するのはいいかもしれない。オカミはカラー写真を受け付けませんから。学生証等はカラー等が使えます。


1993年05月29日

 電気、ガス、電話,銀行口座が終わって、残るのは保険だけとなりました。
 これは「Assurence de locataire : 賃貸者保険」とでも言うべきもので、加入が義務づけられています。ただ、大家さん自体が保険をかけて、掛け金が家賃に含まれているケースもあるので、契約の際に確認しましょう。
 保険の内容は、盗難、災害、事故等による被害の充填及び、自分が加害者になった場合の損害補填です。特に、水漏れ事故などを起こしてしまった場合、この保険に加入していないと悲惨な目にあうこともあるそうです。盗難に合った際、盗まれた物だけでなく鍵やドア等の破損も保険の範囲でカバーされます。
 保険の加入は家の近くにある保険会社の事務所で行える他、学生であれば学生の共済組合で安い保険に加入できます。ここでの加入を希望する場合は、学校の「Securite Sociale」に赴きましょう。
 というわけで、以上で多分無事に(?)生活を開始できると思います。
 これまで不定期かつ時には長文のアップとなり、一部の方にはご迷惑をおかけしたのではないかと恐縮しております。これまでに述べた事はあくまでも私の経験に基づくことです。今後多くの方がフランスで学生生活を送ることと思いますが、少しでもそのお役に立てて頂ければ幸いです。不確実な事柄も多々あったと思いますが、私の書いた内容はあくまでバージョン1.0 ですので、今後生活を送られる方に随時バージョンアップして頂ければ、数年後にはなかなかの資料になるのではないかと思います。
 【留学のために】シリーズとしてはこれで終わり。


1993年05月22日

 住むところが決まったら、次は家具の調達です。無論、家具付きアパートもあるのは事実ですが、数としては家具なしの方が多いでしょう。

方法1:先住者の家具をそのまま売ってもらう

 先住者が日本人の場合は、結構この方法で調達することができます。私の場合、冷蔵庫と照明器具をこの方法で確保しました。価格の方は使用年数に応じて交渉しましょう。

方法2:帰国売りの家具を購入する

 実際はこの方法が最も有効であると考えられます。パリ市内であれば帰国売りで必要なものは全て調達できるはずです。これも在仏日本人会やJUNKU などで掲示されているアノンス、あるいはオヴニーやフランスニュースダイジェストに出ているアノンスで希望するものをチェックします。それこそ、鍋釜、乳母車から自動車まで、ありとあらゆる品がアノンスされています。
 なお、テレビを購入する場合は、必ず廃棄届けがなされていることを確認しましょう。さもないと、前所有者にテレビ受信料の請求が行くことになり、ちょっとしたトラブルの元になってしまいます。フランスはNHKほど寛大ではありませんので要注意。ただし、廃棄届のだされたテレビでは有料放送Canal+を申し込めません。

方法3:新品を購入する

 パリ市内ですと、日用雑貨ならレ・アールにあるHabitat、パリ市庁近くにあるBHV で購入できます。また、家電製品、AV機器等はパリ市内の至るところにあるDartyというチェーンが安くて保証もしっかりしています。細かいものはCarrefourのようなGrande surfaceで購入すると良いでしょう。

輸送の方法について

 帰国売りで洗濯機やベッド等を購入すると、輸送の問題が生じます。無論、自身または友人が車を持っていればそれで輸送も可能でしょうが、そうでない場合は業者に頼む必要があります。パリにも日通など日本の引越業者がありますが、地元の業者でもベッド一つから輸送を引き受けてくれます。地元業者の連絡先はオヴニーのアノンスに載っておりますから、そこに当たってみると良いでしょう。オブニーに載っている業者のほとんどは、日本語で交渉できるようです。
 料金は全て輸送する家具の量、輸送先の階数、エレベータの有無、さらには手伝いの人数によって算出されます。私の場合、エレベータ付き1階からエレベータ無し4階のパリ市内引越で、輸送物件がダブルベッド1、シングルベッド1、洗濯機1、テレビ1、カナッペ1、椅子6、机1、本棚1、収納棚2、それに手伝い(つまり私自身)1人という条件で、税込み1200Frsでした。
 私は学生時代引越のアルバイトをしておりまして、大体見積りを立てることもできるのですが、この分量で1200Frsというのは安目といえましょう。


1993年05月20日

 私が実際に現在のアパルトマンを探したプロセスをご紹介します。季節は6月下旬、この時期ですと、バカンス貸しの短期物件がかなりあるほか、まだ留学生の多くが日本にとどまっておりますので、物件探しの上ではやや有利な状況であったと言えましょう。
 日本からはなじみの2ツ星ホテルのシングル・ルームを1週間予約しました。1週間勝負と考えたのです。とは言え土日が入るので実質5日間勝負です。

★初日
 住む場所としてパリ市内、学校のあるセルジー、そして両者の中間にあるデファンスを候補に考えて情報収集を始めました。まずはメモとペンを持って日本書店JUNKUに直行です。
 JUNKU のアノンスで目ぼしいものをまずメモしました。当然長期貸しが対象なのですが、ひょっとしたら「はしご」しなければならない可能性も考え、バカンス期間中の短期物件もチェックしておきました。ついでにここに置いてあったオヴニーを貰って、喫茶店でやはり目ぼしいものをチェックしました。
 この後、京子食品やオペラ座近辺の旅行業者にもアノンスが出ているので、それらを一つ一つ訪れながら物件をチェックして歩きました。パリの場合、店が開いている時間が短いので、全て短期決戦です。
 夕方からはチェックした物件をパソコンに入力し、地図で場所やメトロの最寄り駅を確かめながら、いろいろな条件に照らして評価してみました。この際、地図としては警視庁発行の冊子が有効です。

★2日目
 午前中、セルジーの不動産情報センターに赴き、物件を2つ紹介してもらいました。一応私は休職だったので、在職及び過去1年の収入を「合法的」に証明できたで、不動産業者の斡旋を受けることができたのです。なお、この不動産情報センターは学校の学長に教えてもらいました。
 午後はパリに戻り、在仏日本人会の入会手続きを行いました。同時に、ここにある大量(!)のアノンスから物件をいくつかチェックしました。実際、アノンスの量はここが最も豊富でした。
 この日も結局情報収集で終わり。ただ、午前中にセルジーの不動産情報センターで紹介してもらった物件の担当業者に赴き、後日部屋を見せて貰うアポを取り付けておきました。一応、この段階で1件確保できたわけです。

★3日目、4日目
 土日の間、チェックした物件の中から候補に挙げたところに片っ端から電話をかけ、部屋を見せて貰う約束をいくつかとりつけました。電話をかけた半分ほどは既に先約済みという状況でした。この2日間はまさしく椅子を暖める時間がなかったくらいです。合計5件見せて貰いました。
 この5件のうち1件が現在住んでいる所で、在仏日本人会のアノンスで見つけた物件です。ただ、ここが既に8月まで短期で借り手がついてしまったとのことで、9月以降という条件がついていました。
 幸い、当面の滞在許可申請のための居住証明をパリで唯一の知り合いが「作成」してくれることになり、また、適当な家具付き短期物件もあったので、全て決着となったわけです。この間、カミさんには電子メール経由のファックスで状況を説明し、一応の了解を取り付けておきました。
 というわけで、ホテルの予約を1日余してめでたくヤサが確定したわけです。

【教訓】
  1. 渡仏するならやはり6月下旬、7月前半がベスト。9月は悲惨なほど競争が激しいし、6月前半までは物件が少ない
  2. 1週間は短かすぎる。2週間は覚悟した方が賢明。万全な体制を整えるなら、1ヶ月ほどホームステイするか寮を確保。ただし、一応ウィークリーマンションもあるので、ホテルと併せての利用も可能
  3. 在仏日本人会はとても頼りになるし情報も豊富

 生活を始める上で一番大変なことは、当たり前のようですが「住むところを探す」こと。これは外国では本当に困難を極めることで、企業駐在員ならいざ知らず、ゼロからとなると七転八倒と言って良いでしょう。にも関わらず皆無事にどこかで(?)住んでいるということは、結局「何とか」なるのです。
 まずはヤサ探しからはじめましょう。フランス、特にパリで日本人が居住先を探す方法は次の通りと言えましょう。
  • 在仏の知人を通じて確保してもらう。
  • 在仏の知人が離仏するのと入れ替わりに入居する。
  • 学生寮に入る。
  • アノンスを頼りに探す。
  • 不動産業者で探す。
 このうち、(1)(2)は特殊例なので省略します。ただ、(1)の例では物件を見ずに契約せねばならないので、絶対にお勧めできません。
(3)については入学先にしかるべきサービス機関があるはずなので、教授等に相談して斡旋してもらいましょう。パリ市内の大学だと多少難しいかもしれませんが、郊外や地方の学校ならかなりの確率で部屋を確保できるはずです。フランスの大学教授だと生徒個人の生活まである相談に応じてくれますので、ためらわず相談を持ちかけましょう。ただし、夫婦で滞在する場合は実質的に利用できません。
(4)はかなり有効な方法です。オヴニー、フランスニュースダイジェストにステュディオ、アパルトマンの短期、長期貸し情報がアノンスされていますので、候補をいくつか挙げて電話しまくるのです。更に、パリ市内では在仏日本人会や日本書店JUNKUに大量のアノンスが出ていますので、パリに来てから足しげく通って出物を待つわけです。
(5)は現在かなり厳しい状況です。と言うのも、家主保護のために、借り主は家賃の3倍の月収があることを証明しなければなりません。これは法律で決まっていることなので、外国人学生への物件斡旋を拒否する業者が少なくありません。企業派遣留学生以外はまず無理と考えてよいでしょう。

1993年05月19日

 パリで学生の身分として滞在許可を申請する手順は次の通りです。必要書類については前回(4)を参照して下さい。
  • Centre d'etudiantに赴く
  • 受付で書類のチェックを受ける(地獄の地階)
  • 申請窓口で手続きを行う(天国の1階)
  • 指定された期日以降に再出頭し、滞在許可を受ける
  • 2ヶ月ほどして、健康診断の呼び出しを受ける
  • 指定された日時、場所で診断を受ける
(1)Centre d'etudiantに赴く
 パリに居住する日本人学生は、全てここに出頭することになりました。場所は次の通りです。学生以外は居住地のPrefecture de Policezです。

 13, rue Miollis, 75115 Paris(ユネスコ本部の近く)
 Metro Cambronne または La Motte-Piquet

(2)受付にて
 建物の地階に向かい、チケットを取って自分の番号が来るのを待ちます。このチケットは後で必要になりますので、捨てずに取っておきましょう。季節にもよりますが、最低30分待つものと覚悟した方が良いでしょう。学生が集中する9月はかなり混雑するようです。自分の番号が表示されたら、同じく表示される窓口に向かいます。ここで書類を一通りチェックされるのですが、その対応たるや....でございます。尤も先方もわけのわからない相手を多数対応しているのですから、ここはじっと我慢。私の経験では、午前中の方が応対が親切なようです。

(3)申請窓口にて
 受付で書類のチェックに合格すると、チケットにサインしてくれます。これを持って、「天国の1階」に上がり、再度番号を呼ばれるのを待ちます。また、申請用の書類をくれますので、1階で待っている間に記入します。黒のサインペンを忘れないこと。申請窓口の対応は極めて親切です。ここで入国日時その他簡単な質問に応えます。質問しながら、担当官がデータを端末に入力します。スムーズに運べば、ここは大体15分で終わるでしょう。
 申請が終わると、滞在許可受取の署名入り引替券をくれます。これに日付が記入してあり、この日以降の適当な時期に再度このCentre d'etudiantに出頭します。券を受け取った時点で、手続きは完了です。 (注)写真やコピーは全てCentre d'etudiantで作成できますので、忘れたからといって、落胆しないこと。ただし、1フラン硬貨を忘れずに。

(4)滞在許可交付
 申請から約20日後以降に、再び出頭して滞在許可を交付してもらいます。今度はチケットを貰わず、受付の向かいにあるついたてのところで引替券を提示します。この時、パスポートを忘れたらアウト! 滞在許可証というと独立した身分証明書と思われるでしょうが、学生の場合は件数が多いせいか、パスポートにシールを貼ってくれるだけです。ですから、交付窓口で行うことは、パスポートの空き頁にシールを貼り、そこに押印をするだけです。この際、手数料として200Frsの印紙が必要ですので、事前にタバコ屋で買っておきましょう。郵便局では売っていませんので注意。

(5)健康診断の呼び出し
 滞在許可自体に必要な手続きは(4)で終わりですが、2ヶ月ほど経つと、移民局(OMI)から健康診断の出頭命令が郵送されて来ます。出頭命令とともに受診手数料の振込用紙が入っていますので、適当な手段で支払います。1992年の手数料は300Frsでした。
 出頭命令に受診の場所及び日時が指定されています。当日、どうしても出頭できない場合は、その旨手紙を書いて、呼出状をOMI宛郵送します。すると、1、2ヶ月後に再度呼出状が届きます。これは特に書類には記載されておりませんが、私がたまたま受診日と試験が重なってしまい、OMI に問い合わせたところこのように指示され、そして実際に行った例です。

(6)受診
 健康診断は日本で一般に行われているものと同じです。身長、体重、視力、レントゲン、検尿、血液検査等を指示されるままに行います。検尿がありますので、受診前に「出しきらない」こと。実際、私はこれで苦労した。
 検査が終わると、医師による問診があります。聴診、咽の検査の後、2、3簡単な質問があります。内容は持病とかフランスでの滞在目的など。病名などは専門用語が多いため、必ずしも全ての質問を理解できるわけではないのですが、一般的な事柄に応えられれば十分なようです。
 問診が終わると、受診証にサインしてくれます。
 以上で終わりですが、この健康診断そのものは滞在許可の初回申請には特に関係ありません。重大な病気が無い限り、滞在を制限されることはありません。にもかかわらず受診しなければならないのは、フランスの社会保証目当てに入国する病人をチェックするためだそうです。また、フランス国内で労働する場合、雇用者から公的機関の健康診断を要求されることがあるため、その証明としてこの診断結果が利用されるそうです。 (以上、手続き編終わり)

 フランスで3ヶ月以上に亘って滞在するためには、滞在許可証を申請しなければなりません。「学生」の身分でこれを取得する手続きをこれから何回かに分けてご説明致します。まずは必要書類について。
 Centre Etudiants が発行している「Etudiants Etrangers」によりますと、初回請求の際に必要な書類は次の通りです。ただし、これはパリで申請する場合であり、都市によっては多少内容が異なることに注意して下さい。また、内容は1992年7月現在のものですので、その後変更されている可能性もあります。
  • Passeport
  • Justification du domicile
  • Justification des etudes a suivre
  • Visa de long sejour pour etudes
  • Justification de ressources suffisantes
  • 3 photographies d'identite en noir et blanc

(1)パスポート
 オリジナルを申請時に提示するとともに、必要頁のコピーを1部用意します。私は新式パスポートを知らないので、多少事情が変わっているかもしれませんが、必要箇所は、写真、家族構成、ビザのある頁です。

(2)居住証明
 もし自分の名前でアパート等を契約したのなら、契約書(これは政府発行の書式があります。詳しくは生活編で述べます)、フランステレコムまたはEDFの最新の請求書、及びこれらのコピー1部を用意します。  下宿、寮、居候、同居等、自分の名前に基づく賃貸契約書がない場合、住居名義人のサインが入り「居住証明書(Attestation d'hebergement )」を作成します。証明書用紙は滞在許可申請場所で用意されたものを用います。区役所等でも居住証明書はありますが、これは通用しないので注意して下さい。私はそれを知らずに印紙代200Frs損をしました。
 居住証明書以外に必要なものは、居住先宛フランステレコムまたはEDF の最新請求書及びそのコピー1部、さらに居住証明にサインした名義人の身分証明書(フランス人であれば身分証明書、外国人であれば滞在許可書)のコピーを1部用意します。

(3)入学許可
 在日フランス大使館でVISA申請の際に提示した入学許可証とそのコピー1部を用意します。さらに、国立の高等教育機関以外の場合は、授業時間を証明する書類が要求されます。これは入学予定先のディレクターに作成してもらいましょう。書式は自由です。これもコピーを1部用意します。

(4)長期滞在VISA
 これは学生VISAの事ですから(1)に含まれます。

(5)資金の証明
 VISA申請の際に外貨購入証明または送金証明が必要なはずですから、その時用いた書類をそのまま用います。通常、TCの領収書、または外貨送金伝票が用いられるはずです。奨学金を給付される人は、給付機関の証明書がその代わりということになります。
「十分な資金」の算出根拠はフランス政府給費奨学金の70%とされています。それによると91/92 年で月額2400Frs、年額で28800Frsです(領事館では30000Frs とされています)。初回申請で許可される期間は最大1年なので、この年額分の送金証明があれば、証明上は「十分」となるわけです。
 なお、ビザ申請の際に保険の証明が必要だと言われると思いますが、初回申請では必要書類の中に含まれておりません。ただし、担当官によっては請求することもあるので、念のために用意しておいた方が無難でしょう。初回申請の際はほとんどの人が海外旅行保険を利用すると思われますが、証明書は各保険会社のパリ事務所で簡単に作って貰えます。

1993年04月19日

 フランスの高等教育機関は多くの留学生を受け入れています。最も多いのはアルジェリアやモロッコなどのマグレブ諸国からの学生、次いでドイツ、イタリア等のヨーロッパ近隣諸国でしょう。アジア系は語学学校でこそかなり多数を占めていますが、大学等ではまだ小数派でしょう。
 言葉の問題で殆ど苦労がないのは当然ながらマグレブ留学生です。文語表現で微妙な違いがあるだけのようですから、まず言葉が障害になることはありません。反対に、四苦八苦を強いられているのはアジア系学生、特に中国系の学生と言えましょう。技術系の領域になると、テクニカルタームの問題が彼らに重くのしかかってきます。この領域になると実用レベルでは英語とフランス語の用語がチャンポンになっていますので、場合によっては仏漢及び英漢両方の辞書が必要になるようです。この点、我々の身近で外来語が氾濫していることは、文化的には不幸なことかもしれませんが、それなりに実利的側面もあるのです。
 案外ととまどいが多いのは英語圏の学生です。かれらは日常コミュニケーションで苦労することは比較的少ないのですが、やはりテクニカルタームで苦労することが多いのです。何しろ英語は世界の共通語という認識が強いですから、時事用語に案外弱点があるようです。技術系では英語がそのまま用いられることが多いとはいえ、経済用語は当然全てフランス語が用いられますから、このあたりでしばしば戸惑いを感じるようです。
 結論的に言いますと、高等教育機関では語学力と同じレベルで専門知識が重要になります。こんなことは当たり前と思う人が多いでしょうが、留学の際は案外とこの点が見落とされがちなのです。辞書レベルで多くの単語を知っているよりも、専門用語を深く知っている方が重要と言っても構わないでしょう。あまり語学力に目が言って、肝心の専門知識の表現力が置いていかれては、それこそ本末転倒です。教授と議論できてもマルシェで値切ることができない、そんな留学生が案外と多いのも事実でしょうが、反対にマルシェで値切れても専門分野で議論できなければ無意味なのです。


1993年04月17日

 手続き編がまだ未完ですが、語学力の話題が出ましたので、準備編を先行させたいと思います。一応次の構成で考えています。

 1:語学の問題
 2:家探しの問題
 3:フランスでの行政手続き他

 今回は語学の問題パート1です。
 語学の問題は留学では確かに大きな障害の一つでしょう。ただ、私は語学力の問題とコミュニケーションの問題を分けて考える必要があると思います。これについては次回述べましょう。
 端的にどの程度の語学力が必要か? 応えは簡単、あればあるだけいい。本当に他に言い様がないのです。ただ、確実に言えることは最低レベルとして中級レベルが必要不可欠ということです。付け焼き場でしのいだものは忘れるのも速いもの、私は集中コースの価値や意義を否定する意志は毛頭ありませんが、こと留学のためということであれば、極めてオーソドックスな方法が結局早道だと思うのです。日本の日仏やアテネの週2日正規授業でも、複数の講座を同時並行させたりアラカルト・コースを交えれば、例え今初心者であっても3学期(9ヶ月)フランスの語学学校の上級コース履修レベルに達することは不可能ではないでしょう。反対に、中級すら終えずにフランスに行くなどというのは、時間の無駄意外の何物でもありません。無論、語学留学はまた別問題で、ここで対象としているのはあくまで語学留学以外を目的とするものです。
 結論から申しましょう。中級の実力さえあるのなら、チャンスがある限りとっととフランスまで来てしまった方がよい。語学力を心配して出発を1年遅らすのは上策ではありません。これは他の留学生も肯定していますし、私も同感でした。私はNSF3のUnite 2が終わった状態で来仏し、パリのアリアンスでエスパス3を2ヶ月の集中コースで修了させました。始めはもう一年待ってNSF3を終え、少し会話を習ってからとも思いましたが、友人や現在の学校の学長が早目に来仏した方が良いとアドバイスされました。
 私は上級コースの履修を否定するつもりはありませんし、フランスで語学学校に通う場合も日本で既に上級コースを修了しておいた方が有利であることは言うまでもありません。理解して頂きたい点は、日本での苦労はフランスでの苦労を「多少楽にする」ものであって、決してフランスでの苦労を「なくすものではない」という違いです。日本で勉強していると「通用すれば嬉しい」ですが、フランスでは「通用しないと困る」のです。その意味で、同じ苦労するのなら、フランスで苦労する方を選ぶ方が、こと留学に関しては効果的だと思う次第です。日本の語学学校上級コースは商業ベース、研究ベースの交流には効果的だと思いますが、留学にはさらに日常生活ベースのコミュニケーションが必要なのです。これはネイティブと日常的に接しないことにはどうしようもないのでは?


1993年03月27日

 さて、前のアップで示しました例の補足説明です。

(1)「sexe」は必要なし。

 これは「ne」で区別すること。言うまでもなく、女性なら「nee le...」。
 別に書いてはいけないということではありません。ただし、間違っても
 sexe : 3 fois par semaine au minimum
 などとは書かないように。

(2)国籍nationalite

 敢えて書く必要なし。フランスは原産地主義(?)なので、出生地の方が重要です。

(3)Formation

 何も学校の専門とは限らない。例えば会社で会計を覚えたなんて場合は、当然追加して良いわけです。

(4)学歴

 原則として高卒以降。無論、高卒の人が大学に出願する場合は高校を記入することになります。ただし、大学・専門学校出身の人は高校までは不要です。

(5)長期のバイトなど

 Stageとして記入しましょう。フランスでは実地経験が重視されます。ですから、専門分野に関連して長期のバイト経験があれば、Stage としてまとめましょう。例えば仏文で志願する人でフランス語語学学校でのバイト歴がある(仕事の内容不問)場合は、忘れず書くようにしましょう。

(6)社名

 実際にある呼称を用いる。日本の会社はたいていフランス語呼称がないので、通常は英文呼称または日本呼称をローマ字化して記入します。ただ、日本呼称を用いるときは、当該産業分類をフランス語で記入すると良いでしょう。産業分類のフランス語訳は通産省大臣官房経済研究所に問い合わせれば教えてもらえます。JETROの資料室にも通産省作成の対訳があるはずです。

(7)職名、所属部名

 何とかフランス語訳すること。課長、部長などは一般名詞なので、フランス語訳します。これは厳密でなくても構いません。係長=chef de profet程度で十分です。所属部名も同様。

(8)言語

「日本語」も加える。これは案外盲点ですが、「外国語」という見出しの元で外国語を列記するより、言語として母語と一緒に併記する方が好印象を与えるそうです。また、直接必要とされるフランス語以外は結構大胆に書いてしまいましょう。私は以前「chinois : lu」を付け加えたことがあります。
 また、当該語圏への滞在期間も加えると良いでしょう。無論、旅行や仕事で何度かにまたがる場合もトータルして月単位で記入しましょう。これを加えることで、ある程度語学力の保証になるそうです。

(9)特記事項

 必要に応じて記入。別に義務ではありません。

(10)欄があれば

 趣味 Loisirs も記入しましょう。
 例:Arts plastiques
 - Conception et realisation de presentoirs originaux ...
 - Realisations graphiques
 Rugby
 - Animation d'une equipe


 実はパリのアリアンスでは、教師によって教え方があまりに違うことが、生徒をとまどわせるという問題があるそうです。これは私も私のカミさんも実際に見たり聞いたりして肯定していることです。実際、月初めの1週間は教師と相性の悪かった生徒のクラス変更がかなりあります。まあ、日本支店の場合はどうしても現地採用教師中心でしょうから、マニュアル主義にならざるを得ないという気はします。
 なお、夏休み中は講師の全体的な質が下がるという節がありますが、これはキャリアの少ないバイト講師を雇うからでしょう。
 私の聞いた話では、アリアンスの授業方針は一応ソルボンヌの教育方法に準拠しているとのこと。この辺、オーソリティの威光絶大のフランスならでわという感じがしました。教師はディプロム試験の合格率で査定されますので、教え方の工夫にも必死です。また、パリだとさすがに生徒も口うるさいので、中上級だと結構教育の方法自体にクレームなり要求なりをつけることがあるし、逆に教師の方で生徒の意向を聞くこともあります。
 ところで、現在主力テキストである「Espace」はパリのアリアンスの講師には結構不評なようです(これは昨夏書きましたね)。特に、このテキストは複数の国から集まった生徒による自由会話を前提にした部分が多く、日本で使うには不向きであろうと、私が習っていた講師がコメントしておりました。


3 履歴書の作成例
 架空の人物を想定した例を以下に示します。これだけでも結構長文なので、細かい注意は次の書き込みを参照のこと。

MOHEJI Henoheno
2-3,Inaka 1-chome,Dokoka-shi                (Photo)
999 Koko-ken, Japon
Tel 0000-11-2222, Fax 0000-11-2223
Ne le 31/12/65−28ans a Dokoka
   Formation mathematique et informatique 【専門】

Situation Professionnelle 【現職】
   chef de projet de Nippon Corp.

Etude 【学歴】
   Maitrise esCCS(N)> Science (Universite de XXX)
 1987-1989 : Institut des Sciences
      (2ans. cours de maitrise : 3e cycle)
 1985-1987 : Faculte des Sciences(2ans. 2e cycle)
      Specialisation mathematique et informatique
 1983-1985 : Faculte des Arts-Liberaux(2ans. 1er cycle)

Stage 【研修歴/バイト歴】
 1987 : Fabricant electro-menager YYY (2 mois)

Experiences professionnels 【職歴】
 1989-1993 : chef de profet de Nippon Corp.

Langues 【言語】
 japonais : lu, ecrit, parle
 francais : lu, ecrit, parle (8 mois de sejours en France)
 anglais : lu, ecrit, parle (1 mois de sejours aux Etats-Unis)

Aptitude 【特記事項】
 Langage de programmation (FORTRAN, Basic, C)


 履歴書(Cariculum Vitae)の書き方をご紹介致します。
 CVのひな形は和仏辞典にも載っておりますが、コミュニケーションの教授に例を見せたところ、やや冗長すぎて今のフランスでは一般的ではないとのことでした。ここはその教授の指導で作成した例を元にしてみましょう。

1 明記すべき内容

(1)氏名、及び連絡先(現住所)
(2)専門(Formation。複数ある場合は全て明記)
(3)学歴及び職歴

2 作成にあたっての注意

(1)「CV」といったタイトルは不要。手紙の中で「CV同封」と明記する。
(2)なるべく1枚に収める。ただし、論文、研究成果、雑誌原稿等が多数あ
 る場合は「Annexe」として別頁にまとめる(量はいくらでも可)
(3)できれば単なるクーリエ体の平打ちではなく、ポイントを変えたりボールド体等を使ってアクセントをつける。
(4)右上に必ず写真を貼る。(スピード写真で可。白黒)
 実例は長文になりますので、次の書き込みを参照のこと。


1993年03月26日

「必要のないものに集中力を発揮するのは難しい」という説、まさしくその通り。思うに、初級から中級に一つのカベがあるのは、初級のうちは知識が増えること自体に結構インセンティブがあるけれど、中級に入ると難しい内容が増えるうえ、そろそろ新鮮味も薄れる。さらに20代後半以降になると一次記憶の衰えが急カーブを描くから、へたすると覚えることより忘れることの方が多いなんてことも起こりえる。語学の場合、特にサボるとテキメンですから。そうなると、インセンティブより苦痛が増えることになる。これを打ち破る最も有力な動機はやはり必要性とか、あるいは某かの憧れでございましょう。
 当然、中級から上級にもカベがあるはず。特にこの段階になると、「あの本を読みたいから」とか「旅行で不自由しない」といった基本ニーズや憧れを結構充足してくれますので、案外こっちの壁の方が厚いかも知れない。
 私のカミさんは来仏前に2ヶ月ほど日仏学院に通いましたが、その後5ヶ月ブランクとなったので蓄積はほぼリセットされたと考えて良いでしょう。ですから、実質的にフランス語は12月から始めたようなものです。無論、カミさんの場合生活でどうしても必要ですから、嫌でも覚えなければならない。で、アリアンス通学後4ヶ月にして一応エスパスの1巻が終わり、今では友人の家に一人で遊びに行ったりしています。無論、共通語はフランス語でございます。
 フランスで学ぶ方が当然多くの利点を有しておりますし、毎日授業があるという点も見逃せません(普通コースで一日1時間45分)。とは言っても、それについて行くというのは生活の必要がなせる術でございましょう。実際、本人はかなり必死でございました。
 しかし、必要最低限のレベルが満たされた今、やはり多少緊張が緩み負担感の方が大きくなりつつあるようです。私自身、目標は2巻終了に置くようアドバイスしましたが、実際、生活で必要なフランス語はこの段階で十分といえると思うのです。ですから、それより上というのは単なる日常生活での利用以上の「何か」がないと厳しいでしょうね。
 長くなりましたが、結論として、仕事で必要になるケースを除けば、映画でも本でも何でもいいからとにかくフランス語に関連するものを徹底的に好きになることが唯一の truc であるような気がします。


1993年03月25日

 多忙モード中もいろいろと資料を探してみたのですが、「L'etudiant」という雑誌をフォローするのが最も多くの情報を得られそうです。もともとこの雑誌は高校生を対象とした内容が中心なのですが、2e Cycle、3e Cycleの情報もかなり収録されています。未確認ですが、「Formation 特集」という増刊号がある由で、フランスの大学で修得可能なDEA、DESS の一覧が載っているそうです。機会をみて確認しておきます。

 1 自分の希望に沿ったUFRを探す。
 2 自分の希望に沿ったDEA/DESSコース等を探す。
 3 自分の希望に沿った教授を探す。

 この中で、日本にいて通常ルートで収集できる情報はどうやら(1)のみのようですね。主な方法をまとめると次のようになります(間違いがあったら訂正願います)。

 1.1 フランス大使館(文化部、科学部。要予約)
 1.2 フランス語教育新興センター(資料閲覧は午後。ただし、相談業務は午前中のみ。要予約。有料)
 1.3 日本事務所(HEC、ESSECは東京にあります)
 1.4 リスト、雑誌等をフランスから取り寄せる。
(例)L'etudiant(雑誌)
  Universites Mode d'Emploi(L'etudian付録)
 Annuraire National des Universites(同別売冊子)
(これが一番有益なようです。約1,200FF)

 2については、フランスの方に直接FAX や手紙で頼むことになるようです。1で該当するUFRを探し、Secretariatにコンタクトしましょう。通常、リストなどには連絡先、担当者氏名が載っているはずです。そして、UFR から送られるプログラム一覧に各コースの名称と担当教授の名前が載っていますので、ステップ3、教授探しにかかります。
 資料の要求は直接教授宛に行います。その際、欲しい資料を明記した手紙の他、次の書類を同封すると良いでしょう。これについては、次回以降の「手続き編」で述べます。

 3.1 履歴書(CV。写真付き) 1枚
 3.2 英文または仏文の推薦状(可能ならば) 1通以上
 3.3 フランス語力を証明する書類(同上) 1枚
 3.4 返信用封筒(国際クーポン付き) 1枚

 繰り返し念を押しますが、情報収集の段階で3.2、3.3は必須ではありません(尤もいずれ必要になります)。ただ、推薦状はあった方が絶対に好ましいと言えましょう。推薦者は大学の先生、会社の役員、その大学のOB等です。3.3については、DALFがあれば添付したほうが好ましいといえましょう。ただ、これも情報収集段階ではオプションです。
 次回は(3)手続きその1として、「CVの書き方」の予定です。


1993年03月04日

 私が現在収集している情報の例をお知らせします。

(1)Formationについて

 資料:Universite / Mode d'emploi
「INFORMATIQUE」という分類項目にDESSの欄がありましたので、その細目を調べました。小分類で「Informatique de gestion」とうのがあったので、その内容を見てみると....

 Gestion informatisee : Lyon 2
 Informatique de gestion de banques de donnees : Paris 9
 Technique de l'informatique de gestion, ... : Paris 9
 ・・・

(2)UFRについて

 :資料:idem
 パリから引っ越すのがいやなので、どうしても選択が限られてしまいます。
(1)の結果でヒットしたのはParis 1とParis 9でした。そこで両Facを調べてみると、それらしいUFRとして...

 Paris Pantheon-Sorbonne (Paris 1)
 UFR gestion et economie d'entreprise
 UFR de sciences economiques et de gestion
 Paris Daupine (Paris 9)
 UFR d'informatique de gestion
 UFR de sciences des organisations

(3)「教授」について

 Paris Pantheon-Sorbonneの方は面識のある教授がいましたので、早速電話を掛け、CV(履歴書)を郵送しました。Dauphineの方はSecretariatに連絡し、UFR de sciences des organisationsの資料を送って貰いました。資料には登録の方法、登録資格等の説明とともに、DEA及びDESSのプログラム名、担当教授のリストがありました。

(例)Diplomes d'etudes approfondies et leur Responsable
 101 Politique generale des organisations .... M.COTTA
 102 Marketing et Strategie ... M.Thietart


1993年03月02日

 建前モードで言うと最長5年です。ただ、このうち1年はDEAまたはDESSのプログラムですから、実際は最長4年と考えて良いでしょう。
 Programme doctrale は確かに年限を切られていないのが普通です。実際に、この間は講義はなくセミナーがほとんどです(DEAコースは多少講義があります)。その意味で、Doctrat の期間イコール論文執筆期間と考えるのは正解といえましょう。
 以上、建前モードでございます。
 実際には、最短で2年で修得可能なようです。DEAと併せて3年ということになります。更に、研究者としての実務経験が認められれば、DEA Programmeと並行してProgramme doctrale をこなすという裏技もある由です。そうなると、理屈の上では2年でDoctrat 修得可能となります。
 準備期間が3年に減る、というのはDEA期間を含めてでせうか? そうなると、正味2年ですから相当ハードということになりましょう。含めなければ現行の最長4年が3年に減ることになりますね。ただ、DEAやDESSは2年コースというもがあります。これは働きながら通学する人向けのものですが。
 このように、いろいろ柔軟なオプションがあるので、あまり期間を厳密に考える意味がそれほどないような気もします。余談ながら、私の母校では博士課程を全うして博士を取る人が殆どいません。大抵、途中で助手に就任し、助手の間に博士論文を書いています。日本でも結構期間はあってないようなものですね。


 タイトルを変えました。これからはこのヘッダを続けようと思います。(1)では調子に乗って一気に3アップもしてしまいましたが、今回からはボチボチやっていこうかと思っています。パート2:情報収集の第1回は、いかなる情報が必要か、についてでございます。
 フランス留学ではどの教授につくかが重要です。重要どころか、DEA 以上ではそれが全てと言ってもよいようです。ですから、情報収集の第一のポイントは、「ターゲットの教授を探せ!」に尽きると言えましょう。オーソドックスな手順としては、

(1)Formation を全てさらって、自分の希望分野を選ぶ。
(2)選んだFormation のディプロム取得可能な大学/UFRを探す。
(注)UFR : Unites de formation et de recherche(学科ですね)
(3)探したUFR所属の教授の発表論文、執筆本、教育分野等を調べる。

 というようになりましょうか。
 ただし、これは極めてオーソドックスな手順であり、実際は資料が限定されたりしてこの通りできるとは限りません。身近に相談に応じてくれる先生や自分の領域が相当具体化しているのであれば、いきなり(3)にトライする方が合理的というケースもありえます。
 (財)フランス語教育振興センターで(1)(2)レベルの資料は入手可能と思われます(私は2度行ったきりなので、この程度の推測しかできない)。また、大使館に行けば各大学のパンフレットや募集要項は閲覧できるはずです。ただ、(3)についてはフランスにいても結構網羅的に集めるのが難しいのが実情です。ですから、やはり(1)(2)と調べて行って、(2)が済んだ段階で直接大学に資料を請求するのが一番てっとり早いような気がします。関連資料は当該UFRのSecretariatに請求すれば入手できます。
 なお、どのような資料を探せば(1)〜(3)に相当する情報が得られるかは現在整理中なので、次回のアップでいくつかご紹介できると思います。


1993年02月28日

 最後にグランゼコールの学位について補足します。
 グランゼコールも1〜3CYCLE に分かれています(たいてい各1年。GEによっては2eまで)。ただし、GE入学までに準備学級を最低2年は履修しておりますので、1er CYCLE が大学の2e CYCLE1年に、2e CYCLEが同2年に相当します。各GEで規定されたプログラムを無事修了すると、晴れてその学校のディプロム修得となります。
 前述の様にGEのディプロムはあくまで各校独自のものですが、1986年にグランゼコール協議会の申し合わせによって「Mastere Specialise」という共通ディプロム履修コースがGEの3e CYCLEとして開始されました。私が履修しているのが実はこれです。
 MSはまだ認知度が低いため、GEは基本的に2e CYCLEで終了と見るのが一般的です。ただし、MS以外でも大学の暖簾を借りる形で3e CYCLEのコース、すなわちDEAやPost DEA コースを設けるGEもかなりあります。例えば私が所属しているESSECには5つのMSコースがあるほか、Aix-Marseille III大学との共通ディプロムという形でDEA 及びPost DEAコースが設けられております。修了者はあくまで「ESSECのDEA修了」という形になります。
 有名GEのディプロムは多くの場合Maitriseと同格に扱われますので、自動的にDEA やDESSへの志望が可能になります。なお、GEによっては他のGEのディプロムを入学条件にしているところがあります(例:ENA )。従って、現象として「GEのはしご」という現象がまま見られるそうです。因みにポリテクニック+ENA の組み合わせは究極のエリートだそうです(確かポンピドーだかジスカールはこの口)。
 何にせよ、GEの場合は学校のブランド性が大きくモノをいいますので、むし大学事情に似ているといえましょう。私立も結構多いので、かえって日本との比較が用意かもしれません。


 前のアップで書き忘れましたが、この部分のタネ本は級友が貸してくれた小冊子「Universites Mode d'emploi」でございます。
 ディプロムの繋がりをご説明すると共に、CYCLE について触れておく必要があるでしょう。これがフランスの大学制度を理解するための鍵になります。
 まず、1er CYCLE。これは日本の一般教養課程に相当します。フランスの一般の大学に進学すれば、この課程修了とともにDEUGが得られます。工業系の短期大学Institutに進む場合にDEUSTを得ることになります。DEUGを獲得した学生は2e CYCLEへと進みます。ここでは専門によって修得可能ディプロムが異なりますが、簡単にまとめると次のようになります。

 文学 :Lisence(1年)、Maitrise(1年)
 理学 :(idem)
 法・経:Lisence(2年)
 技術系:MIAGE(2年)、MSTまたはMSG(2年)、Magistere(3年)、Diplome d'ingenieur(3年)
(注)Magistere及びDiplome d'ingenieurはDEAと同格

 2e CYCLEの位置づけは「基礎的な専門知識の修得」とされておりますので、研究者を目指そうと思わない人はこれがゴールとなります。因みに日本の学士号を持っている留学生は、原則として2e CYCLEに編入することになります。
 3e CYCLEは研究者育成のためのコースと位置づけられます。Maitrise(MST、MSG、MIAGEを含む)を修得した学生は、DEA またはDESSコースに進むことができます。MagistereまたはDiplome d'ingenieurを修得した学生はPost DEA、すなわちDoctoratコースに直接進むことができます。
 DoctoratにはDESSからも進むことができます。ただし、DEAが一般にDoctratの登竜門とされているのに対し、DESSは特定分野の高度な専門性を修得するためのプログラムと考えられているようです。研究者を目指す人はDEAを経てからDoctoratに進み、DESSは上級専門職を目指す人のコースといえましょう。むろん、専門分野によってはDESSからDoctoratというコースもいくらでもありえます。
 日本で修士号以上を獲得している人はDEAの履修が可能です。また、研究機関や企業での実務が3年以上ある人なら学士号のみでも受け入れられるケースがあるようです。その他の場合も、プログラムの指導教授との交渉次第では可能なようです。


 フランスの高等教育がいわゆるアカデミック・スクール(大学、大学院)とプロフェッショナル・スクール(グランゼコール)に分かれていることは、この会議室であればある程度既知であろうと思われます。本来、大学は研究者を育て、GEは企業幹部や役人を育てるところという前提の元、それに応じた学位の授与やコース設定がなされておりました。しかし、学際領域の進展や産学共同研究などの進展によって、大学とGEとの交流が盛んになり、現在ではGEでもドクターコースを設けたりしています。
 この辺の事情は次回に譲るとして、まずは大学で獲得できるディプロムをご紹介致します。
 まあ何はともあれ次の用語を頭に叩き込んで下さい。これらが大学/大学院で修得可能なディプロムの一覧です。

1er CYCLE(2年間)

 DEUG : Diplome d'etudes universitaires generales
 DEUST : Diplome d'etudes universitaires wcientifiques et techniques

2e CYCLE(2年間)

 Licence
 Maitrise
 MIAGE : Maitrise d'informatique appliquee a la gestion
 MST : Maitrise de sciences et techniques
 MSG : Maitrise de sciences de gestion

3e CYCLE(最長5年間)

 DEA : Diplome d'etudes approfondies
 DESS : Diplome d'etudes superieures specialisees
 Magistere
 Diplome d'ingenieur
 Doctorat

 仏和辞典の巻末に多少の仕組みなどは載っておりますが、実際はこれだけあるのです。凄まじいでしょう? これらのつながりや内容は次の書き込みでアップします。
 なお、GEの場合は各学校がディプロムを授与しますので、どのGEのディプロムを持っているかが極めて重要となります。ポリテクニックやENA を頂点とするトップ6のディプロムはフランスにおいて万能の威力を発揮しますが、それなりのところはGEといえどもそれなりの扱いとなります。この辺りも話せば長いので、また後で詳しく述べましょう。


1993年02月27日

 皇太子ご婚約以来、女性の間で再び留学熱が高まっているとか。実際に留学中の私が言うのも変ですが、「留学」自体の価値がそれほどのものではなくなったのは事実でございましょうし、「留学」が「国際感覚」を育むとは思えない。第一「国際感覚」なるものの実態や意義に、私は極めて不可解かつ懐疑的印象を抱いております。
 とまあひとくさりしてはみたものの、人生の機会をどう生かすかは個人の問題でございましょう。「留学」も一つの機会でございます。機会として多くの選択肢を供給してくれる、私もその事実を否定する気はございません。
 さて、日本で留学と言えば英語圏、それも事実上アメリカの大学/大学院に学というのが実態でございましょう。フランス留学というとどうしても語学学校とか料理やモードの専門学校の需要が多いらしく、一般の大学などの高等教育機関に留学を志す場合、情報らしい情報がないといっても過言でないでせう。現に私もえらく苦労しました。
 本や雑誌だって、需要がなければたいした情報も提供できないのも無理からぬもの。従って、情報入手先は財団や大使館だけが頼りとなってしまう。私の場合は学校に日本事務所があったので何とかなりましたが、そうでなかったら、情報収集段階で挫折していたかもしれません。
 まあ、能書きはさておき、とにかくリアルタイムで情報交換ができるというパソコン通信は、このようなマイナーでありながら一部では根強い需要のありそうなメディアとしては最適であるように思われます。そこで、そろそろネタ切れの見えてきたLexiqueシリーズに変わって、今度はフランス留学講座なるものを行ってみたいと思います。
 この会議室には私よりも留学経験の長い方が多々いらっしゃいますので、適宜アドバイス、ご意見、茶茶入れ等をしていただければ幸いです。一応、次のような構成で数回に分けてアップして行きたいと思います。
(1)学位 :ディプロムの構成や教育制度
(2)手続き:各種手続きの主として裏技(?)
(3)語学力:実際に必要な語学レベル


1992年08月18日

 Grandes Ecolesの制度はフランス人でも頭を抱えるほど複雑です。
 一般に大学はアカデミック・スクール、GEはプロフェッショナル・スクールとされていますが、フランスの著名な数学者は殆どPolytechnicianですから単純にそうも言えません。また、工学や社会科学のように、基礎研究と応用との境界が曖昧な分野は、大学とGEの役割に差がありません。実際、最近は大学とGEで共通diplomeを発効することも多くなっています。ただ、実社会では依然としてGEのdiplomeの方が挌上と見做されているのは事実です。
 Diplomeで見るとGEが発効するのはmaitriseまで、大学ではmairise/licenceの上にD.E.A(Diplome d'Etude Applofondie)、Doctorat/Ph.Dがあります。D.E.Aは博士号の前提条件です。従って、GEの卒業生が博士号を取ろうと思ったら、大学に入り直す必要があります。しかし、現実にはいくつかの大学と提携し、maitrise取得後はその大学のコースに編集されることになります。例えば、ESSECであればParis IV、Aix-Marseille III等と提携し、あくまでESSECに所属する形でD.E.AやDoctoratのコースを受講することが出来ます。
 フランスでは「なんとか大学卒」ではなく、何の(どこの)diplomeを取ったかが重要です。そしてフランスは日本以上の学歴社会ですから、社会的地位を得るため幾つものGEのdiplomeを取ろうとする人が出てきます。
 一方、GEによっては「どこそこのGEのdiplome」を条件にしているところがあります。更に、いかにもフランスらしいシステムが「equivalence」というやつで、場合によってはどこそこGEのdiplomeと同等の資格があると認められることが多々あります。そしてequivalenceが認められるか否かは学長の判断一つで、明確な基準というものがありません。
 まあ、簡単に(?)まとめると、フランスではDiplomeが重要であるが故に、様々なはしごや乗り入れが行われ、高等教育制度を複雑怪奇・説明不能状態にしているといえましょう(何のまとめにもなっていない)。


1992年08月04日

 8月になって、アリアンスにも多数の新入生がやってきました。7月のクラスはスタート時に24人いた生徒が、7月最終日には9人まで減っていました。そして今日、そのうち6人が継続、1人が定員超過のためクラス変更、2人がサボリで、あとは18人の新入生です。
 国籍は7月にも増して豊富で、今回はポーランド人、ニュージーランド人、デンマーク人、スウェーデン人、イギリス人等が加わっています。多数勢力は相変らずスペイン人、イタリア人です。東洋人は7月から一緒のマレーシア少女と私だけです。
 7月のクラスと違う点は、やに体格のガッシリした女の子が増えたことでしょうか(しょーもないことにしか目がいかん)。喧嘩してもちと勝てそうもない方々が私の正面に並んでいました。彼女達を見ていると、よくオリンピックの女子競泳で金メダルを取れたものだと改めて感心します。それも14歳の少女が。



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