過去の日記一覧
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この日記について
この日記は、他のリソースから転載したものが大半です。 2005年3月以降の日記は、mixiに掲載した日記を転載した内容が中心です。一部は実験的に作成したblogに書いた内容を移植させています。 2001年の内容の一部は、勤務先のweb日記に記載したものです。 1996年〜2000年の内容の多くは、旧サイトに掲載したphoto日記を転載したものです。 1992年6月〜99年9月の日記の大部分は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。 |
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ヘール=ボップ彗星はパリからでも見えました。たそがれが終わりかけたころの北西の空、頭の部分だけじゃなくて尾まで見えたんだから、たいしたもんだと思いました。その翌週、日本に行く用があって、長野県原村からも眺めたのだけど、さすがに高原だけあって、尾の長さは双眼鏡の視野をはるかに越えてました。
そういや、昨夜はジャコビニ流星群の出現ピーク日で、今年は大出現の年にあたったから、日本でもけっこう話題になっていたのではないのかな。この流星群、母彗星が13年周期なので、13年に一度大出現をします。で、前々回の大出現時には、アマチュア天文愛好家の間に「光害」という用語が定着したころで、ジャコビニ流星群の出現ピーク時にネオンを自粛してもらおうという運動が起こったのですね。
で、その運動の成果があって東京のネオンはその日に限り普段の6割減ぐらいになったけど、あいにくとその日は全国的に天気も悪く、しかも流星群は空振りだったようです。
今年は来月の18〜19日にピークが来るしし座流星群の大出現年でもある。この流星群は32年周期で「当たり年」が来るのだけど、前回の1966年には、アメリカの一部の州で一時間あたり10万個以上の流星が見えるという、いわゆる「流星雨」が報告されてます。今年はその時期、ナントまで行って流星見物でもするかなあ(笑)。
水星の観測好機はだいたい 3〜4月か 9〜10月ですね。なにせ離角が狭いですから、日没時に黄道が立っている季節、つまり春分(宵の空)か秋分(明けの空)前後に最大離角になる時期がチャンスであります。ぼくが最初に見たのは25年前の12月ですね。そのときは明けの空でしたが。
23年前には水星と金星が見かけ上大接近したことがありますよ。たしか角度にして20分ぐらいだっけかな。望遠鏡で低倍率で見ると、おなじ視野に両方の星が入りました。会合周期は水星が11年、金星が 8年だから、これだけの大接近は88年に 1回の現象ですね、単純計算では。
水星は赤道に近い地帯ほど観測しやすいので、ヨーロッパでは不利です。コペルニクスはデンマークの人だったので、ついぞ水星を見ることがなかったそうです。
1986年には水星の太陽面通過があったのだけど、そろそろまたあるんじゃないのかな。金星は2012年だっけかな。
彗星はものすごく茫洋とした天体なので、光度よりもみずらいのが普通ですね。恒星は点光源ですが、彗星は面であり、発表される光度は面全体を点光源にしたときの明るさですから。これは星雲や星団でもおなじで、たとえばプレアデスという散開星団(日本名は「すばる」)の光度は1等級近いですが、実際は4等星ぐらいの星が数個寄せ集まっている状態なので、最低でも3等星ぐらい見える空でないと存在がわかりません。
彗星は一見すると星雲や星団に見かけのすがたが似ており、コメットハンターたちはそれを区別しないといけませんでした。で、むかしメシエというフランス人コメットハンターが「まぎらわしい天体」110個分ののカタログを作りました。いまでもそのリストにあがった天体を「メシエ78」などといいます(一般には「M78」のように略す)。メシエ1は「かに星雲」と呼ばれる天体で、これは超新星爆発の残骸なのですが、母天体が急速に明るくなったときの様子を、藤原定家が日記に残しています。定家はたしかハレー彗星についても記録を残していたんじゃないのかな。
彗星観測にいちばん使われる光学機はおそらく双眼鏡でしょう。一般アマチュア向けだとかつて海軍が使っていた50mm×7倍という規格がいちばん手頃です。コメットハンターは捕鯨船が使っていた120mm×20倍ぐらいのを使っていたようですけどね。
ヘール=ボップ彗星はコアがでかい彗星なので拡散部分が少なく、発表光度がそのままの明るさに近いですね。これでハレー彗星なみの近日点距離だったら、金星なみの明るさにもなっておったんじゃないのかな。
せっかく日本に来て手元に双眼鏡があるのに、こんどは連日の雨で空がみえまへん(;_;)。
昨日も楽々と薄明のなかに見えました。肉眼でこんなに簡単に尾まで見える彗星は、すくなくともワタシが生まれてからは(1959年以降)6つぐらいしかありませんので、このチャンスはお見のがしなく。薄明が終わりかけるころ、北西の空を見上げればすぐにわかります。周囲にそれよりも明るいがありませんから。
よーやっと見えました。
昨日、France 3で「このあたりに見えます」「写真を取るなら ASA400のフィルムで……」なーんて紹介をやっていたのだけど、このところ夕方は曇っていたので見るチャンスがなかった。でも今日はわりときれいにたそがれていたので見えるかな、と思って北西の空を見上げたら、薄明のなかにあっさりと姿を現しましたねー。
パリの空は東京よりも観測条件は悪いのだけど、薄明が消えていくにつれて、だんだんと尾が見えてくるのはけっこう感動的であります。しかしまあ、この明るさでこの高度なんだから、ほんまにたいした彗星だわ。
さっき見てきました。場所は圏央道の入間インター付近です。高速道路走行中、ウィンド越しにわかりましたから、かなり明るいですね。位置は北極星からだいたい15度ぐらい離れたあたりですから、日本はもちろんのこと、フランスでも一晩中見ることができます。高緯度地方である巴里などは、日本よりも観測条件はいいですね。
大彗星はだいたい 5年に 1回の割合で見えるものなのですが、ここ20年は不作続きでした(ハレー彗星は観測条件が悪すぎた)。今回の百武彗星はひさびさの天文ショーです。実際、双眼鏡で眺めてみて、近日点通過前なのに頭部が明るく尾がしっかり伸びているのにはびっくりした。
過去30年の主な大彗星は、61年の関・ラインズ彗星、64年の池谷・関彗星、70年のベネット彗星、76年のウェスト彗星といったあたり。これに今回百武彗星が加わるわけで、日本人のアマチュア観測家(一般に「コメット・ハンター」という)の活躍ぶりがわかりますね。
余談ながら、星雲・星団で「M47」とか「M78」とかいう「M」は、フランス人のコメット・ハンター、メシエの頭文字です。彗星観測では星雲・星団がまぎらわしいので、メシエは約110の天体のカタログを作りました。その通し番号が「M1」……とかです。
M1(メシエ1)は「かに星雲」と呼ばれるものですが、これは超新星爆発の名残といわれてます。で、超新星爆発があったという記録が、藤原定家の日記に残されていた、なーんて事実があるんですよね。
百武彗星の位置や光度の予報は、海上保安庁のホームページに掲載されております(http://www.jhd.go.jp)。