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この日記について

この日記は、他のリソースから転載したものが大半です。
2005年3月以降の日記は、mixiに掲載した日記を転載した内容が中心です。一部は実験的に作成したblogに書いた内容を移植させています。
2001年の内容の一部は、勤務先のweb日記に記載したものです。
1996年〜2000年の内容の多くは、旧サイトに掲載したphoto日記を転載したものです。
1992年6月〜99年9月の日記の大部分は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
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■ 2014年11月 アーカイブ

2014年11月25日

92年6月から約7年パリで暮らし、99年8月に帰国してからNHKの朝ドラはほぼ欠かさずに観てきた。その間、朝と昼に加えて土曜のBS再放送で再度観るなど熱中した作品もあれば、つまらないことを確認するためだけに観た作品もある。「花子とアン」までの作品の私的評価をまとめてみた。

■1999年度後期 あすか
脚本:鈴木聡
出演:竹内結子、藤木直人、佐藤仁美、藤岡弘、紺野美沙子、芦屋雁之助
【感想】
日本帰国後に朝ドラを継続的に観るようになったのは、この作品のおかげといっていい。いままで観た朝ドラ(子どものころに観た「繭子ひとり」とか「藍より青く」なども含め)のなかでも私的TOP3に入る。
明日香村と京都を舞台にした和菓子職人の物語で、設定は地味でストーリーの基本は生真面目だが、細かなところではかなりコミカルな演出があった。なんといっても芦屋雁之助の硬軟自在の演技と、長男役の梅沢富美男の無責任な善人っぽさがいい味を出している。親世代の藤岡弘の大げさな臭さと紺野美沙子の頑なさとの噛み合わせもよし。ヒロインの子役時代を演じた榎園実穂も好演だった。榎園のつくったイメージと竹内結子の雰囲気のマッチングの良さもこのドラマの魅力だと思われる。
ヒロインと相手役の竹内結子・藤木直人も好演だったと思うが、その周囲がとにかくキラキラと光る物語だった。金田龍之介の意地悪な茶人役と、ラストの方での老いぼれた好々爺ぶりも地味ながらお見事。全体として、脇役も含めた役者全体のキャラと役柄が非常に噛み合っていた。
【オススメ度】
完全版のDVDを借りて観るべし。後悔しない。

■2000年度前期 私の青空
脚本:内館牧子
出演:田畑智子、筒井道隆、伊東四朗、加賀まりこ、あき竹城
【感想】
一言でいうなら「貧乏臭い」。シングルマザーが頑張る物語ではあるが、たいして明るくもない日々のささやかな事件がひたすら連打されるといった印象が強く、本放送は惰性で眺めるだけだった。菅井きんのコミカルさ、あき竹城のけれん味たっぷりの演技が楽しかったぐらい。ところが総集編をみたら、これがとてもおもしろい。続編「私の青空2002」も菊川怜の演技はアレだが、全体としてはテンポのよい内容だった。このドラマ、15分×156回という尺がストーリーに比べて長すぎるのだろう。
【オススメ度】
総集編と続編は観る価値大

■2000年度後期 オードリー
脚本:大石静
出演:岡本綾、長嶋一茂、大竹しのぶ、賀来千香子、段田安則、堺雅人、舟木一夫
【感想】
予告段階の期待が大きく本放送で空振りした作品の筆頭かも。とても残念。配役と脚本がミスマッチだったのでは。一茂はセリフがほとんどない序盤はよかった。渋い存在感があった。だけどセリフが多くなるとぶち壊し。それ以上に、大竹しのぶの演技が迫真すぎて周囲から浮かびあがり、全体のバランスを崩したように思えてならない。段田安則の飄々とした演技が、自由人というよりもただのニートなオッサンにしか見えなかった。賀来千香子のもたつきぶりはむしろけなげで、つい「男女七人夏物語」を思い出してしまった。舟木一夫の滑舌の悪い役者は笑えたが、出番が少なくて残念。堺雅人、藤山直美などもいかしきれてなかった感が強い。作中、扇屋一心堂でおかめまんじゅうに言及された場面があり、「あすか」ファンには受ける。
【オススメ度】
存在を忘れてよし

■2001年度前期 ちゅらさん
脚本:岡田惠和
出演:国仲涼子、小橋賢児、田中好子、堺正章、平良とみ、菅野美穂、余貴美子
【感想】
21世紀で最もおもしろい朝ドラが21世紀の最初に放送された、と言っても同意してくれる人は多いのではないか。文句なしに楽しめた。NHKが再放送リクエストを募ったときに「おしん」などを押しのけてトップだったというのだから、朝ドラ史上の最高傑作の一つといっていいのでは。
どの配役をみても「この役はこの人でなければダメ」という組合せだろう。だからこそ田中好子が亡くなったことで、続編が4で途絶えてしまうであろうことが残念だ。せめて余貴美子を主人公にしたスピンオフでもあればとは思うが、「つるかめ助産院」の続編も観たいところなので悩ましい。
このドラマの魅力を書き始めたら本一冊分ぐらいにはなってしまうだろう。なのでまだ観てない人はとにかくDVDの完全版をすぐに借りること。とくに「あまちゃん」を朝ドラ最高傑作だと信じて疑わない、比較的最近になって朝ドラを見始めた人には、ぜひとも完全版を見てほしい。
【オススメ度】
すぐに完全版のDVDを借りて観るべし。これを観ずして朝ドラを語るなかれ。

■2001年度後期 ほんまもん
脚本:西荻弓絵
出演:池脇千鶴、海東健、麻生祐未、根津甚八、風吹ジュン、佐藤慶
【感想】
ストーリーと池脇千鶴がミスマッチだったのではないか。池脇千鶴自身はけっして悪い役者ではなく、実際、夜ドラ「火消し屋小町」などは小気味のいい演技だった。だけどヤンキーっぽい役が似合ってしまうために、父親の意志を継ぐ的な設定にはちょっと軽すぎると思えてならない。相手役の存在感もあまりにも希薄だった。
麻生祐未が神経質そうな先輩役で出てくるのだが、その麻生が「カーネーション」で天然ボケの母親役を演じるわけで、そのコントラストには一見の価値があるかも。また、風吹ジュンが母親役を好演したのにはびっくり。こんなにいい役者になるとは、アイドル時代には想像もできなかった。これはこのドラマの収穫だった。
【オススメ度】
存在を忘れてよし

■2002年度前期 さくら
脚本:田渕久美子
出演:高野志穂、小澤征悦、セイン・カミュ、太田裕美、小林亜星、中村メイコ
【感想】
ラスト一ヶ月がもっと速いテンポだったら、このドラマも「傑作」入りできたかもしれない。終盤をあまりにも引っ張りすぎ。それですべてがブチ壊された感が強い。高野志穂と小澤征悦は十分に好演だったと思うので、脚本の問題なのではないか。続編相当の舞台でさくら・慶介の仲がようやく決着がついた(この舞台では下宿先沼田家の母親役を麻丘めぐみが演じていた)。
野口五郎の英語教師役は一見の価値がある。父親役の小林亜星の姿に「寺内貫太郎一家」を思い出した人も多いだろう。小林亜星と中村メイコの掛け合いは、このドラマでいちばん楽しめる場面であった。
【オススメ度】
総集編は観る価値大

■2002年度後期 まんてん
脚本:マキノノゾミ
出演:宮地真緒、藤井隆、生瀬勝久、浅野温子、赤井英和、小日向文世、大杉漣
【感想】
よくわからんドラマであった。気象予報士? 宇宙飛行士? で、宇宙からの天気予報? なんなんだろうね。脚本家はどんなドラマを作りたかったのだろう。ヒロインと相手役の組合せは、朝ドラとしては完全なミスマッチだったのではないか。それと浅野温子がやたら「迫真」の演技を全開し、「オードリー」の大竹しのぶと同様、完全にイッてしまった感がある。小日向文世と大杉漣もうまく活かしきれてなかったのでは。かなり消化不良のドラマだった。
【オススメ度】
存在を忘れてよし

■2003年度前期 こころ
脚本:青柳祐美子
出演:中越典子、玉木宏、黒川智花、伊藤蘭、寺尾聰、岸恵子
【感想】
これもよくわからんドラマだった。CAだったのが子連れの医者と結婚し、医者が山で遭難して亡くなったあとは鰻屋繁盛記? 伊藤蘭の女将さん役はよかったのだが、これまた脚本家はどんなドラマを作りたかったのやら。とりあえず、玉木宏はこの時点ですでになかなかの存在感を光らせていたとはいえる。
【オススメ度】
玉木宏ファン以外は存在を忘れてよし

■2003年度後期 てるてる家族
脚本:大森寿美男 (なかにし礼)
出演:石原さとみ、錦戸亮、上原多香子、上野樹里、岸谷五朗、浅野ゆう子、藤村志保
【感想】
W浅野の一方の浅野温子が「まんてん」では「暴走」したのに対し、もう一方の浅野ゆう子、わざとだと思うがけれん味たっぷりの演技が岸谷五朗の剽軽さとうまく噛み合い、とてもコミカルな展開となった。藤村志保の幽霊演技も含め、大人世代の演技が達者だったせいか、その分、ヒロインの石原ひとみの存在感は薄れたものの、他の三姉妹がそれぞれのキャラを発揮し、半年間、じゅうぶんに楽しめる内容になっていたのではないか。
【オススメ度】
再放送があれば観てもいいかも

■2004年度前期 天花
脚本:竹山洋
出演:藤澤恵麻、片平なぎさ、香川照之、加賀まりこ、竹中直人
【感想】
一応半年間観ていたはずなのだが、ストーリーから脇役の役者から、ほとんど記憶に残っていない不思議なドラマである。べつにヘボな役者が変な演技をしていたわけではなく、加賀まりこや香川照之など、むしろ濃い役者がそれぞれの役どころを演じていたとは思うだが、まるで印象に残っていないのがこのドラマの特徴だった、としかいいようがない。
香川照之と竹中直人は二人とも大河ドラマで秀吉役をやっていたけど、個人的には「利家とまつ」の香川秀吉の方がスケベオヤジっぷりをよく出していたと思う。そういえば前作「てるてる家族」の岸谷五朗も「江」では秀吉でしたね。
【オススメ度】
存在を忘れてよし

■2004年度後期 わかば
脚本:尾西兼一
出演:原田夏希、姜暢雄、田中裕子、山口紗弥加、内藤剛志、南田洋子
【感想】
非常に生煮え感が強かった。ヒロインの原田夏希は快活な役をそれなりに好演していたと思うのだが、他方でただ騒がしかっただけという印象も。これも「天花」と同様、印象の希薄なドラマであった。ストーリーの盛り上がりが感じられなかった。
【オススメ度】
存在を忘れてよし

■2005年度前期 ファイト
脚本:橋部敦子
出演:本仮屋ユイカ、瀬川亮、垣内彩未、緒形直人、酒井法子、田村高廣
【感想】
ヒロインの不登校時代や父親の交通事故のころの描写がとにかく重い。朝ドラにはどの作品でもたいがい「谷底」期があるものだが、この作品ではそれがきわだって重苦しい。最後はなんとかハッピーエンドで終わるものの、あまりカタルシスを感じられなかった。佐藤仁美が「あすか」以来久々の登場だったが、ほんの数年でちゃんと中年を演じられたのはさすが。本仮屋ユイカは、映画「スウィング・ガールズ」(この作品には朝ドラのヒロインや相手役、重要な脇役が何人も出ているので朝ドラファンにはオススメ)のような真面目な天然ボケ役の方が似合うのではないか。
【オススメ度】
総集編は観てもいいかも

■2005年度後期 風のハルカ
脚本:大森美香
出演:村川絵梨、松岡充、水川あさみ、渡辺いっけい、真矢みき、朝丘雪路、宮崎美子
【感想】
個人的には好きな作品の一つ。松岡充が朝ドラの相手役としてはけっこう異色な雰囲気なので、これで好き嫌いが分かれるかも。龍のウロコが「ちゅらさん」のスーパーボールのようなアイテムかと思いきや、わりとしょうもない小道具で終わった。渡辺いっけいの愛すべきダメ親父ぶりがほほえましい。木村佳乃のコミカルな若後妻ぶりも笑える。藤竜也のダンナっぷり、宮崎美子のおせっかいなオバサンもよし。この作品も、役者のキャラと役柄のマッチングが良かった。
【オススメ度】
再放送があれば観てみたい

■2006年度前期 純情きらり
脚本:野妙子(津島佑子)
出演:宮崎あおい、福士誠治、寺島しのぶ、井川遥、三浦友和、竹下景子、室井滋
【感想】
いい役者がたくさん出ているのにストーリーがぶち壊し。音楽を愛する少年・少女の話だったはずなのに、途中からすっかりと味噌蔵繁盛記になってしまった。まさに「話が違うだろ!」である。三浦友和の存在感のない父親ぶりはかえって印象的だった。寺島しのぶが押しの強いオバサンと化すところは笑える。室井滋はさすがの好演、井川遥は影の薄い役柄をでしゃばらずに演じて好感が持てた。その後ブレークした宮崎あおいだが、NHKドラマとしては夜ドラ「ちょっと待って、神様」の無気力な女子高校生役の方が断然きらりと光っていたのではないか。
【オススメ度】
宮崎あおいファン以外は無視してよし

■2006年度後期 芋たこなんきん
脚本:長川千佳子(田辺聖子)
出演:藤山直美、國村隼、鈴木杏樹、城島茂、岸部一徳、いしだあゆみ
【感想】
藤山直美と國村隼の組合せでおもしろくないはずがない。ただ、実時間場面と回想場面がわりと入り組んで話が展開するため、ストーリーの全体像はちょっとわかりづらい。出番はそれほど多くはないが、いしだあゆみの演技はなかなか印象的で、原作者・田辺聖子の秘書は本当にこんな感じなのだろうかと思ってしまう。
【オススメ度】
総集編は観る価値大

■2007年度前期 どんど晴れ
脚本:小松江里子
出演:比嘉愛未、内田朝陽、川村ゆきえ、宮本信子、大杉漣、森昌子、草笛光子
【感想】
このドラマの立役者は草笛光子と宮本信子だろう。さすが大ベテランだけあって、自分の演技に突っ走ってブチ壊すことなく、見事に比嘉愛未を立てていた。大女優に対峙して比嘉愛未が懸命の努力で演技したけなげさには萌える。川村ゆきえ、あき竹城が適度に軽さを出していたところもよし。長門裕之の職人ぶりも必見で、続編のまえに亡くなったのは本当に残念でならない。
第1週で比嘉愛未が内田朝陽を追いかける場面、桜木町のところで走る方角が反対だったのは、横浜市民的には気になってしまったが、気づくのは地元民ぐらいか。
このころの朝ドラだと70年代アイドルが母親役を演じることが多く、田中好子、風吹ジュン、太田裕美、伊藤蘭、浅田美代子に続き、ここでは森昌子が出演した。ただ、出番が少なかったせいか、印象に残る場面がほとんどなかったが。
【オススメ度】
再放送があれば観てみたい。続編も一緒に。

■2007年度後期 ちりとてちん
脚本:藤本有紀
出演:貫地谷しほり、青木崇高、佐藤めぐみ、松重豊、和久井映見、渡瀬恒彦
【感想】
一つ一つの要素がことごとく生煮えという感じ。ストーリーは悪くないし、個々の役者の演技もなかなかの好演だし、とりわけ青木崇高のぶっきらぼうさは要注目なのだが、もうひとつうまく噛み合いきれなかったという印象を受けた。米倉斉加年演じた祖父がキーパーソンのわりに存在感がなかったせいか。また、渡瀬恒彦演じる草若も悪くはなかったと思うのだが、ここはやはり本職の落語家に演じてもらったほうがよかったのでは。
【オススメ度】
貫地谷しほりファン以外は無視してよし

■2008年度前期 瞳
脚本:鈴木聡
出演:榮倉奈々、飯島直子、西田敏行、満島ひかり、田野アサミ
【感想】
評判がイマイチの作品だが、個人的には悪くないと思った。西田敏行と榮倉奈々の自然な掛け合いがいい。アドリブもけっこう多かったのかも。この二人のホームドラマとして観ればそれなりに楽しめる。飯島直子のパワーのあるお母さんぶりもよし。
このドラマでは近藤正臣が人の良さそうな公務員を演じていたが、翌年には土曜ドラマ「再生の町」でアコギな市議会議員役をやったり、朝ドラ「カーネーション」では親分肌の組合長、「ごちそうさん」では波乱の父親役を演じている。近藤の名役者ぶりを知るうえでも、この作品の公務員ぶりは要チェックだろう。
【オススメ度】
総集編は観てもいいかも

■2008年度後期 だんだん
脚本:森脇京子
出演:三倉茉奈・三倉佳奈
【感想】
これはストーリーに無理があったのでは。キャラクターはけっこう期待させるものがあったのだが、あのSweet Jumoの時代はなんだったのだろう。最初から医療とか介護とか、そちらの伏線をキッチリと張ればよかったのに。迷走しまくりの展開は「こころ」「純情きらり」と同様だ。往年のイケメン俳優の吉田栄作の枯れっぷりは昔を知る人にはおもしろいコントラストだった。岸部一徳の薄口の存在感は「芋たこなんきん」でもおなじみ。藤村志保、夏八木勲の安定っぷりはさすが。脇を固めるベテランの演技はさすが朝ドラである。
【オススメ度】
マナカナが好きなら総集編を観てみては

■2009年度前期 つばさ
脚本:戸田山雅司
出演:多部未華子、宅間孝行、小柳友、高畑淳子、中村梅雀、吉行和子、
【感想】
ドラマとしてはいまひとつ。朝ドラはヒロインと相手役との恋が一つの軸だと思うのだが、この作品の相手役は、宅間孝行、小柳友のどちらなのだろう。ここがハッキリしていなかったので、朝ドラファンとしては不安定な印象を最後までぬぐい去れなかった。とはいえ高畑淳子と西城秀樹の演技は必見だろう。また、父親役の中村梅雀は、このころNHKのドラマに出まくっていた。2008年度の大河「篤姫」で井伊直弼を熱演、朝ドラでも「てるてる家族」で出番は少なかったが安西社長を怪演していた。このドラマの大人しげな演技は、梅雀ファンには必見だろう。
【オススメ度】
埼玉県民は総集編を観てもいいかも
西城秀樹ファンは楽しめるかもしれない

■2009年度後期 ウェルかめ
脚本:相良敦子
出演:倉科カナ
【感想】
これも「迷走」作品の一つといっていいだろう。朝ドラは女の半生記から自己実現ドラマに転換したといわれるが、であればヒロインが「自分らしいなにか」になる展開が軸となるはず。しかし、この作品も結局は編集者ごっこで終わってしまい、「こころ」「純情きらり」「だんだん」と同様の迷走感を抱かせた。山田勝乃新のキャラと演技がわりとマッチしていたし、倉科カナもなかなかの熱演で、なにより石黒賢の軽さがいい味を出していたので、なおさら展開のグダグダが残念だ。
【オススメ度】
存在を忘れてよし

■2010年度前期 ゲゲゲの女房
脚本:山本むつみ (武良布枝)
出演:松下奈緒、向井理、大杉漣、古手川祐子、風間杜夫、竹下景子
【感想】
視聴率面ではひさびさのヒット作となったようだが、正直なところ、これは原作に救われたように思う。水木しげるの破天荒な生き方自体がおもしろすぎるので、編に脚色しないかぎり、おもしろくなるに決まっている。……というと身も蓋もないが、逆にいえば素材をうまく活かせたとはいえるだろう。
向井理の熱演には拍手。片腕の演技に不自然さがなかった。朝ドラファン的には大杉漣と竹下景子に要注目だろう。大杉漣は「まんてん」で気象予報の鬼師匠、「どんど晴れ」では娘思いのパティシエを好演し、ここでは頑固親父を演じていた。本当に芸達者な役者である。また、竹下景子の素っ頓狂な祖母役もいいキャラであった。
【オススメ度】
総集編は観てもいいかも

■2010年度後期 てっぱん
脚本:寺田敏雄/今井雅子/関えり香
出演:瀧本美織、京野ことみ、安田成美、遠藤憲一、富司純子
【感想】
この作品は「ちゅらさん」みたいに思いきりはじけさせてしまえば傑作になったのではないか、と思わないでもない。中途半端なシリアスさでホームドラマとしてはいまひとつ盛り上がれなかったし、お好み焼き屋だけでは自己実現ストーリーとしてのパンチも弱い。
富司純子はお見事。この人の演技だけを目当てに観てもそれなりに楽しめるはず。また、竜雷太がここでは富司純子の「相手役」を好演している。この往年の青春スターはNHKドラマにはちょくちょく出ており、朝ドラ「こころ」、ドラマ10「いつか陽のあたる場所で」でも下町のオヤジ役を渋く演じている。
【オススメ度】
富司純子ファンは挑戦すべし

■2011年度前期 おひさま
脚本:岡田惠和
出演:井上真央、高良健吾、満島ひかり、マイコ、寺脇康文、樋口可南子、串田和美
【感想】
百合展開が好きな人にはたまらないドラマだろう。「いい人」だらけの物語で、やや退屈さはあるが、最後まで安心して観ていられる。井上真央は好演だったが、なんといっても樋口可南子と串田和美の夫婦役が抜群にいい。
井上真央、満島ひかり、マイコの女学生時代は、いわゆる「エス」が描かれていた。このドラマの成功から、おなじようなパターンがそのうち登場するのではないか。
高良健吾は爽やかな青年を好演したが、このドラマを観たとき、この役者は絶対に冷酷な犯罪者役があうと思った。その願い(?)は夜ドラ「書店員ミチルの身の上話」でおおむね達成された。
ピエール瀧がクセのある代用教員役を好演し、出番は少ないが存在感を見せていた。「あまちゃん」の寿司屋役よりもキャラに合っていたのでは。
【オススメ度】
総集編は繰り返し観たい気がする

■2011年度後期 カーネーション
脚本:渡辺あや
出演:尾野真千子、栗山千明、小林薫、麻生祐未、綾野剛、正司照枝、ほっしゃん。
【感想】
これは傑作! 私的TOP3に文句なしで入る。尾野真千子の圧倒的な演技、小林薫の切れ味、もうこれだけでも十分すぎるくらいなのに、麻生祐未、ほっしゃん。、綾野剛、正司照枝、近藤正臣たちの好演が重なり、どの一遍も退屈せずに楽しめた。また、晩年を引き継いだ夏木マリ、江波杏子もさすがとしかいいようがない。
考えてみると、このドラマの主人公・小原糸子はとことん朝ドラのヒロインらしくない。朝ドラなのに朝から口汚いセリフが全開で、ここまで爽やかさのない朝ドラはちょっと思いあたらない。しかしそれを完璧に「笑い」に仕立て上げたところがすばらしい。糸子の舌打ちを楽しみにしていた視聴者も多かったのではないか。
もうひとつ、ドラマで腐れ縁ともいえる関係を演じた尾野真千子とほっしゃん。とのtwitterでの「場外乱闘」も話題になった。こちらも必読だろう。
http://togetter.com/li/246847
【オススメ度】
完全版のDVDを借りて観るべし。後悔しない。

■2012年度前期 梅ちゃん先生
脚本:尾崎将也
出演:堀北真希、松坂桃李、片岡鶴太郎、高橋克実、南果歩、ミムラ
【感想】
惰性で観るのにはちょうど手頃なストーリーとキャストだった。次が気になってしょうがないというおもしろさはなかったが、見そびれると気になって週末のBSをチェックしたりと、そういう意味では朝ドラらしい作品だったかも。堀北真希のまとまったドラマを観るのは「篤姫」の和宮以来だったのだが、こちらの天然ボケ的な役の方が当然ながら合っていた。ハイライトはやはり面接シーンだろう。
姉役で登場したミムラは2012年11〜12月に夜ドラ「恋するハエ女」に出ていたが、こちらのはじけた演技は必見だと思う。
【オススメ度】
総集編は繰り返し観たい気がする

■2012年度後期 純と愛
脚本:遊川和彦
出演:夏菜、風間俊介、武田鉄矢、森下愛子、舘ひろし、余貴美子、朝加真由美
【感想】
役者一人一人は熱演だったと思うよ。若いころの清楚な朝加真由美を知る世代として、おお、こんなキャラも演じられるんだという楽しい驚きもあった。舘ひろしも魅力的なキャラだったし、余貴美子に至っては、「この人はどんなドラマでも観たくなる気にさせる」存在感を再認識させられた。ただ、やはりストーリーが朝から観るようなドラマではなかった。15分細切れもつらい。夜に1時間×6回か8回だったらなあ、と思う。
【オススメ度】
もはや朝ドラの黒歴史

■2013年度前期 あまちゃん
脚本:宮藤官九郎
出演:能年玲奈、橋本愛、小泉今日子、宮本信子、蟹江敬三、薬師丸ひろ子
【感想】
天然キャラの主役を芸達者なベテランが盛り立て、ストーリーのテンポもよく、いろいろな小ネタを楽しめるドラマだった。もちろん「カーネーション」以来の傑作だろう。
宮本信子は「どんど晴れ」以来か。あのときは母世代役で蟹江敬三のリアル息子が次男役だったから、6年後には蟹江父と祖父母世代役にアップした。
【オススメ度】
完全版のDVDを借りて観るべし。後悔しない。

■2013年度後期 ごちそうさん
脚本:森下佳子
出演:杏、東出昌大、原田泰造、キムラ緑子、吉行和子、近藤正臣
【感想】
これはもう東出昌大が出世した作(出世作、ではなく)である。直近の「あまちゃん」では回想シーンの駅員さんだったのが、一気にヒロインの相手役だったのだから。こういう出世パターンはちょっと記憶にない。
ドラマ的にはキラム緑子の演技がクローズアップされたが、朝ドラファン的にはもちろん近藤正臣に注目である。いやー、期待を裏切らなかった。
もちろんヒロインの杏も好演だった。大河「清盛」でお転婆な北条政子を演じたばかりだったが、ちゃんとイメージが切り替えられた。
【オススメ度】
総集編は繰り返し観たい気がする

■2014年度前期 花子とアン
脚本:中園ミホ
出演:吉高由里子、仲間由紀恵、鈴木亮平、室井滋、伊原剛志
【感想】
前半と後半とでずいぶんと味わいが違う。前半はやたらと人間関係にこじれた展開やら人生終わった的境遇のラッシュ、ところが後半はいたってシンプルな筋書きだった。ややこしいまま続いてたら途中で観る気が失せるが、さりとて後半がシンプルすぎると、いろいろな伏線になったであろう要素がまとめて消去されてしまったような物足りなさがある。最大の「悪役」である葉山伯爵、「じつはいい人?」の石炭王など、後半で一波乱起こせたのではないか。また、宮本龍一も安定した所帯を持って普通のいい大人になったのも残念な気がする。
とはいえ、1点を除けばおおむね許容範囲ではある。唯一許容不可能は問題点は、モギケンを使ったところ。エキセントリックな社長を演じさせるつもりだったのかもしれないが、あの学芸会レベルの演技ではそうした味は出てこない。出番は少なくても大詰めで鍵を握るような役割なのだから、しっかりした役者を使ってほしかった。これだけは返す返すも残念でならぬ。
【オススメ度】
完全版DVDを借りて一週間ぐらいで一気に観ると楽しめる。



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